MEMORANDUM

  場所のニオイ

◇ フロアーに立ちこめる臭いは、まさに博物館のそれである。世界中どこでも共通の、専門家ならば知っている、ほこり、防虫剤、保存液のホルムアルデヒドなどの臭いである。
(The odors are echt musium, known to professionals throughout the world -- dust, mothballs, and formaldehyde.)

スティーヴン・ジェイ・グルード 『干し草のなかの恐竜(下)』 (早川書房,p.92)

◆ これは、グールドがライデン自然史博物館を訪問したときの記述だが、場所にはそれぞれ固有のニオイがあって、そのニオイがその場所の魅力の一部をなしていることがある。ほとんどの場合、ニオイは意識されずに、記憶の奥底にまぎれてしまうけれども、なにかの拍子に、そのニオイを思い出してしまい、錯綜したさまざまな記憶のなかからそのニオイそれ自体を単体で取り出すことに成功すると、

《においカミングアウト》

に見られるような、余人には計り知れない魅惑のニオイリストの一部を構成するに至る。

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