MEMORANDUM

  ミンミンゼミ

◆ ひとに薦められて、帚木蓬生の 『国銅』 という小説を読んでいると、こんな箇所で立ち止まる。

◇ ようやく六月の大暑が過ぎ、七月の処暑がやって来ると、釜屋の周囲の樹々(きぎ)で鳴く蟬も熊蟬から法師蟬に変わった。黒虫だけはしかしその鳴き声の変化を知ることができずにいた。国人は蟬の死骸を見つけて来て四種類を地面に並べ、鳴き声の違いを黒虫に説明してやった。小さなみんみん蟬、茶色の油蟬、大型の熊蟬、細く羽根の透き通った法師蟬と、形の違いは黒虫も知っていたものの、鳴き声までは想像がつかなかったらしい。
帚木蓬生 『国銅(上)』 (新潮文庫, p.86)

◆ 小説の舞台は奈良時代。国人は長門の銅山で働く主人公の若者。黒虫は国人の同僚で耳が聞こえない。で、気になったのは、「小さなみんみん蟬」 というところ。はたして、ミンミンゼミは小さいだろうか? クマゼミよりは小さいかもしれないが、ツクツクボウシよりはかなり大きいし、アブラゼミとは同じぐらいだろうか。『言海』 によれば、

ミン‐ミン ゼミ (名) 蛁蟟 蟬ノ一種、形、大ク、くまぜみノ如ク、羽、透キトホル、秋ノ末、盛ニ鳴キテ、其聲、みんみんトイフガ如シ。
大槻文彦 『言海』 (ちくま学芸文庫,p.1125)

◆ ところで、このミンミンゼミ、東京では盛んに鳴いている(いた)けれど、京都ではあまりなじみがなかった。

◇ 映像はアブラゼミなのに、鳴き声はミンミンゼミ。いつも思うのですが、蟬の声の効果音ってミンミンゼミしかないのでしょうか? 夏のシーンには、必ずミンミンゼミ。関西には少ないのに、関西が舞台のドラマでも、やっぱり聞こえる 「ミーンミーン」。
www3.nhk.or.jp/drama/archives/semishigure/bbs/page_095.html

◇ 昨日東京に行って気づいたこと。東京ではミンミンゼミが普通に鳴いていること。関西ではセミといえばニイニイゼミやアブラゼミ、最近目立って多いクマゼミ、地方の山間部に多いヒグラシ。東京では本物かどうか疑わしいほどミンミンゼミが鳴いていました。今でも半信半疑なんですが、本物なのでしょうか。
blogs.dion.ne.jp/sh_60gata/archives/4036542.html

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