◆ 新千歳空港のミニ水族館、調べてみると、なかなかおもしろい。《新千歳空港ターミナルビル》 のサイトによれば、3つの到着ロビーのそれぞれに水槽があって、その水槽がさらに乗客側(寒帯の魚)と出迎え側(熱帯の魚)で二分されて、約100種類、約2000匹もの魚が泳いでいるということだ。今度行ったら、べつの水槽も覗いてみることにしよう。ハリセンボンもいるらしいから。 ◆ で、小さな男の子が 「おっきくて、かわいい」 とつぶやいたのは、ANAの熱帯水槽にいるタマカイを見ていたときだった。いまタマカイと書いたが、もちろんワタシがこんな魚を知っているはずもなく、そういえば、機内の音楽番組で、コブクロとかいうのが、「♪名もない花には名前をつけましょう~」 などと歌っていたけれども(この曲、「桜」 というタイトルだそうだけど、どうして?)、名前を知らない魚に勝手に名前をつけてもしようがないので、水槽に貼ってあった写真つきのネームプレートと見比べ、ようやくタマカイであるらしいとわかったというのが本当のところ。 ◆ 東海大学海洋科学博物館の館長を務めた鈴木克美さんが、こんなエピソードを語っている。 ◇ 東海大学海洋科学博物館が1970年にオープンしたとき、コースの最初の円柱水槽には魚の名札をつけませんでした。円柱水槽はわが博物館で創案し、はじめて実現させた新しいスタイルの水槽で、玄関を入ってすぐ、魚の泳ぐ大小12本の円柱のあいだを通りぬけていくことで水族館を楽しむ期待感をもり上げよう、という計画でした。それなら、ここではまだ、魚の名前を知ってもらわなくてもいいのではないか、雰囲気を味わってもらうのに、魚名札はいらないだろうと考えたのです。1970年代とは、こんなふうに、前例にこだわらず、むしろ水族館の新しい方向をさぐる試行錯誤がいっぱいつまった時代でした。 ◆ ワタシは、わざわざ水族館に足を運んだわけでもなく、ただ空港での時間つぶしに魚を眺めていたにすぎないけど、それでも10分くらいのお付き合いはしたわけで、そしたら、やっぱりそいつの名前が知りたくなるなあ。タマカイ、わかってよかった。 ◆ タマカイ、英語では Giant grouper、学名は Epinephelus lanceolatus。 ◇ It is found throughout the Indo-Pacific region, with the exception of the Persian Gulf. The species can grow as large as 3 m long, weighing up to 600 kg, and there have been unconfirmed reports of attacks on humans. ◆ このタマカイ、中島敦のパラオを舞台にした小説 『南島譚』 にも顔を出す。 ◇ 怠け者の揃った此の島の中で、此の男一人は怠ける暇が無い。朝はマンゴーの繁みに囀る朝鳥よりも早く起きて漁に出掛ける。手槍(ピスカン)で大蛸を突き損って胸や腹に吸い付かれ、身体中腫れ上ることもある。巨魚タマカイに追われて生命からがら独木舟(カヌー)に逃げ上ることもある。盥ほどもある車渠貝(アキム)に足を挟まれ損ったこともある。 ◆ このタマカイ、ダイバーには気になる存在のようで、 ◇ 伝説の巨大魚タマカイがうろうろし、しかも全然逃げない。タマカイって知ってますか? 一番大きくなるハタで、最大2.5mになるとか。漁師にとられ尽くし、数は少なく神経質です。数が少ないのでパラオではほとんど見られないものです。タマカイだよ~見ちゃったよ~!! ◆ ダイビングが趣味で、パラオにも何度も行ったことがある同僚に、「タマカイ、知ってる?」 と聞いたら、「知らない」 って言ってたけども。 |
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