MEMORANDUM

  日ロ

◆ 2005年8月19日、小樽市港町8番6号。この建物の入り口の上には 「小樽市外航船客公共待合所」、下には 「小樽~サハリン フェリーターミナル」 とあって、地図で確認すると、「日ロフェリーターミナル」 と記載されている。小樽からサハリンのホルムスク(真岡)まで、フェリーが出ているらしい。

◆ ところで、この 「日ロ」 という文字の連なりはちょっと読みづらい気もする。「ロ」 はもちろん 「ロシア」 の 「ロ」 だけれども、漢字の 「日」 とカタカナの 「ロ」 をつなげると、カタカナの 「ロ」 が漢字の 「口(くち)」 にも見えて紛らわしい。「日露」 と書けばわかりやすいが、これではやはりソ連以前の帝政ロシアを思い浮かべていろいろ不都合もあるのだろう。

◇ 明治の初年、ロシアの国を文字で表す時に魯の字を宛てていたところが、魯は一方においては昔孔子などを出した魯の国を意味すると同時に、愚の意味にもなるところから、かの国から異議を申し出て一頃までは露という字になっていた。それも今は蘇の字に変ったが、長年の間露の字が宛てられていた。あの世界の大国が露という可愛らしい字で表現されたとはいえ、別にはかないとか小さいとかいう連想がなかったと見えて、無難に数十年を過してしまったのはまたすこぶる面白いことと、ほほえましく思っている。
新村出 『語源をさぐる』 (講談社学芸文庫, p.19)

◆ 「露」 という漢字を 「かわいらしい」 と思う感覚はワタシにはなかったけれど、そういわれるとそうかもしれない。

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