MEMORANDUM

  護美箱

◆「護美箱」と書かれたゴミ箱を見かけることがある。もちろん当て字である。

◇「護美箱」は、漢文風に訓読すると「美を護(まも)る箱」となり、「ゴミを入れることにより周りの美しさを守る箱」という、ちょっとしゃれた当て字でしょう。
www.taishukan.co.jp/kanji/qa_idiom.html

◆ これをシャレた表現と感じるかダサい表現と感じるかはひとそれぞれだが、

◇ ・・・護美箱。いい響きですね。日本語って美しい!! 皆さんもごみは絶対に捨てないようにしましょう!!
www1.linkclub.or.jp/~spanky/YH001/Sbook/Sbook2/16Gomibako.html

◇ ところでゴミって、いらないものとか、役にたたないとか、うちの田舎だと分別が細かいから面倒なものって意味になるけど、或お寺のゴミ箱は「護美箱」と書いてありました。美を護るなんて粋だと思いませんか、ゴミが護美になるんですよ。
blog.goo.ne.jp/jyushoku96/e/e6074a1895c35974fa3136634f7d3a9e

◇ 当て字であろうが「美」を「護」る箱の護美箱は感心した。ゴミ箱よりはよほど美しい日本語である。
www.sun-inet.or.jp/~qze13054/menu%20433.html

◇ 護美箱←山形の駅で見つけた文字。なんて読むんだ?と悩むこと1秒、あ~ゴミ箱か。ゴミとは書かずに護美箱と書くセンスに乾杯♪ 美しさを護る為の箱だからゴミ箱ね、深いね~~日本語w
nejilog.exblog.jp/3015536/

◇「護美箱」と当て字を書いて、箱を準備している学校もあるそうです。美しさを護(まも)るとはいいですね。すべての人が「護美人(ひと)」になれば、たばこの「ポイ捨て」や、空き缶の「自己中心当たった人のことは構わず投げ」などはなくなるでしょう。
www.hatara-j.ed.jp/turezure/turezure2.htm

◇「地球に優しい」というフレーズが、ボクはどうも好きになれない。ゴミ箱を「護美箱」と書く発想に似て、ゴマカシがある。地球は決して優しくしてほしいなどとは思っていないのである。「人類が生き残るために、地球をどうするか」とストレートに言えばよい。
橋元淳一郎『シュレディンガーの猫は元気か』(ハヤカワ文庫,p.119)

◆ ゴミ箱を「護美箱」と書くのはまだ理解できる。けれども、ゴミを「護美」と書くのはどうか?

◇「護美箱」ってさぁ、どう考えても当て字だよね。だって、「ごみ箱」って単語になってりゃ「美を護る箱なのね」と思えるけど、「ごみ」だけだったら、とても「美を護っている物体」とは思えないもの。
irusuka.sakura.ne.jp/glossary/glossary.html

◇ 六年生のころ、「護美箱」というのをお寺の境内で発見して、いたく感動したことがある。なるほどよく考えたものだ、とばかりに、学校のゴミ箱にも「護美箱」と表示した。ポスターにも「護美は護美箱へ」と書いた。そのポスター、自信たっぷりに張り出してから、「護美箱」はありでも、ゴミのことを「護美」と書くのはおかしいよなと気づいて、とっとと撤去したのを思い出した。
www.tcp-ip.or.jp/~beans/kotonoha/04-04kotonoha.htm

◆ ワタシも箱のない「護美」という表記にはちょっと違和感を感じる。「護美箱」という漢字表現がまずあって、そこから「箱」をとって「護美」という当て字が生まれたので、その逆ではない。つまり、これは一種の「逆成」(backformation)なので、「箱」がないとちょっと間が抜けた気がする。

◆ とはいえ、どのみち当て字なのだから、意味があろうがなかろうがかまわないとも言えるので、その場合は、ゴミを「護美」と書こうが、「娯魅」と書こうが、「五三」と書こうがどうでもいいことになる。あるいは変則的に、かな交じりで「ご三」や「五み」と書く人もいるかもしれない。

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