◇ はりせんぼんのます、の「はりせんぼん」とは、裁縫に使う針を千本ということではなく、あのとげとげのついたフグみたいな、へんてこりんでミョ-ちくりんな魚の「ハリセンボン」のことだと、テレビでさかなチャンが言っていたが‥いったいいつ誰が、その針がちょうど千本であると数えたのだろうか。もし針の数が千本でなかったら、数えた人はウソツキ呼ばわりされ、それこそ「ハリセンボン」飲まされてしまったにちがいない。皮肉なことだ‥ ◆ そりゃ、さかなチャンは魚の味方、魚至上主義者だもの。で、ハリセンボンの針の数、ホントはいくつ? ◇ なんと、数えた人がいました。そのときは370本くらいでした。ハリセンボンのハリは、だいたい300~500本と言われています。 ◇ 「ハリセンボン」の名前の由来は、その姿からなのですが、実際の棘の数を数えた方がいるらしく、365~375本と、ちょうど1年間の日数と同じくらいだそうです。 ◆ 400程度の数を数えたくらいで、なにも驚くことはないだろう。ものも10分もかかるまい。ハリセンボンではないが、マンボウのメスは卵を一度に3億個も産むという。これを実際に数えるとすれば、1秒で10個数えるとしても、3000万秒、約10年かかる。これなら驚いてもよいと思うが。似たようなのに、千手観音。 ◇ 千手観音にあった人で、一番最初に手の数を数えた人はえらい。「1,2,3,4・・・うーん千本ですな」ってめっちゃ冷静。それまでは「手いっぱいあるやつ」って呼ばれてたんやろな。 ◆ これもぜんぜんエラクない。 ◇ 「先日、千手観音像を見る機会がありました。見ていて思ったのですが、千手観音は「千の手」と書いて「せんじゅかんのん」と読むのに、私が見た千手観音像は1000本の手はなく、せいぜい数十本でした。そこで、千手観音像の手の数について調べてみてください」 ◆ せいぜい数十本! 正確に数えると、 ◇ 本当に千本の手を付けた作例も有りますが、42本の手で代用する作例が多く、有名な京都の三十三間堂の場合も、42本です。中央の合掌手(本手)の外の40本を25本の代表とし、千本の手として表現します。 ◇ 観音様の手の数を数えますと42本あります。そのうちの2本は薬の入った器をお持ちですから、残りの使える手は40本です。観音様は1本の手で25通りのことが出来るといわれていますので、全部合わせると1000本。ですから千手観音というわけですが、これはもちろん無数、数限りないことを言い表しており、千住観音様は数限りない人を救っていらっしゃるのです。 ◆ 40を数えるだけなら、これはもう、1分もかかるまい。ハリセンボンにハナシを戻そう。 ◇ さて、「指切り拳万 嘘ついたらハリセンボン飲ます 指切った」という文句があるが、子供同士の約束で、指切りをする時の文句。実際、ハリセンボン飲ましたら…。…実は美味い! 沖縄では「アバサー」と呼ばれ、愛されているほど。おいしい魚で、フグの仲間だ。しかも、毒が無いので、フグよりも食べやすい。というわけで、嘘ついて、ハリセンボンを飲ませてもらうのもいいと思います。 ◆ なんだ、おいしいのか。そうそう、冒頭のかわいいハリセンボンのイラストは貝原益軒『大和本草』より。かわいくないこちらは、《ウィキメディア・コモンズ》より。剥製。標本。これはちょっと飲み込みたくない。くれぐれもウソはつかないように。 |
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