◆ 美国のことを書いたついでに、ほかの国のことも少し。日本語でフランスを漢字で書けば、仏蘭西(仏国)、ドイツは独逸(独国)、イタリアは伊太利(伊国)となるが、中国語では、それぞれ、法蘭西(法国)、徳意志(徳国)、意大利(意国)と表記する。では、ロシア(露西亜)はどうかというと、俄羅斯(俄国)となる。 ◇ 日本では 「露」 と略すロシアを、中国では 「俄羅斯(オロス)」 の略で 「俄国」 というのはちょっとびっくりです。 ◆ 日本でも、かつてロシアをオロシヤと読んでいたことがあったのいうのは、井上靖の 『おろしや国酔夢譚』 でつとに知られていることだろうが、 ◇ あの国を 「おろしあ」 と呼ぶのは日本だけでなく、モンゴル語、満洲語、中国語、朝鮮/韓国語、つまり北東アジアの主要言語に共通していることなのです。モンゴル語や満洲語では 「オロス」、それを中国語では 「俄羅斯」 と音訳しました。だから現代中国語では 「俄国」 がロシアを意味します。で、この表記法は朝鮮半島にも持ち込まれたので、朝鮮/韓国語でも漢字でこの国を表すときには 「俄国」(アーグク)となります(「露」 あるいは 「魯」 というのは日本独自の表記です。中国や朝鮮半島では、おそらく通用しないと思われます)。 ◆ では、なぜロシアをオロシヤと呼ぶのか? ◇ 「おろしや」 という言葉は,ロシアに 「お」 を付けたものと聞きました。では,なぜ,「お」を付けたんでしょう? 「おあめりか」 とか 「おいぎりす」 とは言わないですよね(「おふらんす」 は言うか……)。辞書を見ても載っていないので、ご存知の方、教えてください。 ◆ 「おろしや」 の 「お」 は 「おフランス」 の 「お」 とはもちろん違うけれども、たしかに辞書にその理由までは記されていない(と思う)。 ◇ 我々の祖先は、この国と最初に接したとき、それを 「おろしゃ」 と呼んだ。Rossiya は素直に耳を傾ければ 「オロシャ」 と聞こえるからである。その後、この国の呼称は魯西亜、露西亜、ロシヤさらにはロシアへと変遷した。外務省令によるとは言え、英語の Russia が決定的な影響を与えたものと思われる。 ◆ そう聞こえたから。なんとステキな説明だろう。Rossiya (Россия) の語頭の R (Р) は 「巻き舌」の R なので、 ◇ 江戸時代はロシアのことを 「おろしあ」 と言っていた。ロシア語で 「ラッシーヤ」 と発音する時、はじめの巻き舌の音を聞いていると、あいまいな「お」という母音が、軽く聞こえるような気がしないでもない。 ◆ 発音するときにも、軽く適当に曖昧な母音をつける感じで、「(オ)ロシヤ」 と言えば、ロシア語っぽくなるかも。 ◇ ロシア語といえば、巻き舌の“r”。「ルルルル・・・」 とべらんめえで言えなくて苦労する外国人は多い(はーい)。 ◆ ワタシは巻き舌に苦労したという記憶はないが、それ以前にロシア語を学んだ記憶もない。 ◇ 美國選手柯恩獲得銀牌,俄羅斯選手史露茲卡雅摘下銅牌。 ◆ アメリカ(美國)のコーエン(柯恩)が銀、ロシア(俄羅斯)のスルツカヤ(史露茲卡雅)が銅。そして、「金牌」 (金メダル)を獲得したのは 「二十四歲的荒川靜香」。 |
このページの URL : | |
Trackback URL : |
むかし懸命に巻き舌の練習をしました。ラジオ講座のテキストにドルルルとやるんだと書いてあり、都バスの中でまでドルドル稽古しました。
おかげで「君の英語はロシア語訛りだね」と英国人に言われます。