◆ おともだちのタネさんは、こうした光景を見ると、「サムボロ」 が出るそうだ。
◆ 1月20日午後4時、横浜市青葉区市ヶ尾町。仕事が終わって、現場近くの電線には無数(というほどでもないか)のムクドリ。この日は撮るほどのものがほかにはなにもなかったので、まあムクドリでもということで、見上げてカメラを構えると、上から次々と落ちてくる。地面にポタポタ音がする。白っぽいフンの波状攻撃。かすり傷ひとつ負わずにすんだのはさいわい。
◆ タイミングよく、『週刊文春』 の竹内久美子 「ズバリ、答えましょう」 という質問コーナーにこんな質問が。
◇ Q: 長野県に単身赴任して三年目ですが、今年も 「あの鳥」 が夕方群をなして電線に止まっています。以前、出張先の会津若松でも 「あの鳥」 を見ました。 / 秋になると出現する 「あの鳥」 は何ですか。どうして夕方のみ決まった電線に止まるのですか。もう一五年も住んでいる自宅の小田原にはいません。(四六歳、男)
『週刊文春』(2月2日号, p.122)
◆ この答えはどう考えてもひとつしかない。小田原にもいないはずはない。
◇ A: 夕方、群をなして電線に止まる鳥・・・・・・。 / ハトもカラスも夕方に電線に止まります。でも、わざわざ質問しておられるところを見ると、こういう超メジャーな鳥ではないですね。 / それはもしかすると、ムクドリではないでしょうか。
Ibid.
◆ もしかしないでも、ムクドリにまちがいない。「超メジャー」 とはいえないにしても、ムクドリはじゅうぶんに 「メジャー」 な鳥で、好き嫌いは別にしても、「あの鳥」 あつかいはムクドリにいささか失礼だろう。
◇ 午後6時過ぎの近鉄奈良駅前。どこからともなくやってきたムクドリの大群が、空を黒く埋め尽くします。 / <住民> 「すずめ?つばめ?何でこんなにおるの?」 「ワチャチャチャチャチャと来る」
mbs.jp/voice/special/200509/19_891.shtml
◆ スズメやツバメやハトやカラスなどの 「超メジャー」 な鳥以外は名前も知らない? こういうひとにかぎって芸能人の名前はいやというほど覚えていたりするのだが。ムクドリは、
◇ 都会でも一年中ごくふつうに見られる鳥。黒っぽい体で、顔の白とくちばしのオレンジ色が目立ちます。声はあまり心地よいものではなく、何千羽という大群で街路樹に止まって気味悪がられることもあります。
www.bekkoame.ne.jp/~sibutaka/nature/html/birds/mukudori_j.html
◆ また、『週刊文春』 の同じ号の 「私のリビング」 というコーナーでは、作家の庄野潤三が、
◇ 「一日二回の散歩が、わたくしはとても愉しみなんです。(中略) その散歩から戻ると、このソファに一時間ほど腰かけてね、ぽかぁんと庭を眺めたりしているわけです。季節ごとの花や、それから、四十雀やメジロ、野鳥が来るんですよ」
『週刊文春』(2月2日号, p.10)
◆ と云っている。これはまあ、インタビューをまとめた人の責任だろうが、「四十雀やメジロ、野鳥が」 とはなんともケッタイな列挙の仕方である。シジュウカラとメジロ以外はみな野鳥ということか。ここは 「シジュウカラやメジロなどの野鳥が」 と書いてもらわないとどうにも落ち着かないが、これはムクドリとは関係がない。また、庄野潤三がシジュウカラとメジロ以外の野鳥を知らないというわけでもあるまい。