◆ 地下鉄の駅で、こんな広告を見た。公共広告機構というところが作成したらしい。
◇ 命は大切だ。命は大切に。そんなこと何千何万回言われるより 「あなたが大切だ」 誰かがそう言ってくれたらそれだけで生きていける。
◆ で、公共広告機構のサイトを見ると、「企画・制作 博報堂」 とあった。テレビやラジオでもこのCMを流しているらしいけれど、ウチにはテレビがないし、ラジオでも聞いたことがなかったので、これまで見聞したことがなかった。
◇ 命の大切さ。これまでのACのテーマの中でも最も根源的かつ大きいテーマだと思いました。この問題に今どうアプローチすれば救いや希望を見出せるのか、自問自答する日々が続きました。悩んだ末に出てきたのが「あなたが大切だ。」というシンプルなメッセージです。人間は誰しも関係性の中で生きています。それをまわりくどく表現するのではなく、静かな、しかし確かな心の叫びとしてずばりと表現する。メッセージを分かりやすく、ストレートに訴求していくことをテーマの基本としました
www.ad-c.or.jp/campaign/all/2005_8.html
◆ いつもながら広告会社の考えることはどうもよくわからない。サイトにあったCMムービーというのも見たけれども、ワタシには不気味な印象しか残らなかった。「命は大切だ」 というコトバと 「あなたが大切だ」 というコトバにそれほどの違いがあるとは思えない。
◆ 地下鉄の駅で見たこの広告のとなりが、たまたま 「人形町今半」 の広告だった。
◇ 命は大切だ。命は大切に。そんなこと何千何万回言われるより 「今夜、今半で、すき焼き食べようよ」
◆ そう言われたほうがずっと生きていけそうな気がする、そう考えるのはあまりに切実な問題を茶化していることになるだろうか?
◇ 死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目が織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った。
太宰治 『葉』(www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/2288.html)