◇ 「東京で京風ラーメン言うけどなあ、なーんやあれー。おだしの効いた薄口スープに細い麺。あんなん、京都じゃ犬も食わへん。ホンマの京都のラーメンたら、透き通ったスープは邪道やね」 ◆ 『入浴の女王』 の杉浦日向子も、知り合いの編集者に連れられて天下一品に行ったそうな。 ◇ ホンマの京都のラーメンは、とんこつとも違う、こってりゲル状の、箸が立つ濃厚スープとちりちり麺じゃない、だらだら麺(東京のやわらかめが京都ではかため)で、刷汁と麺の硬さが同じ塩梅で 「ゲロしたラーメン」 (京都人のオスギが言うのだ)が京風なのだと言う。 ◆ まさしく、その通り。京都をなめてはいけない。 ◇ 京風ラーメンは京懐石を意識した薄味のラーメンで、京都市内では観光客向けの店でみられるほかはほとんど見られない。 ◇ ところで、関東の店によく 「京風ラーメン」 なんて言うメニューがありますが。あっさり薄味のラーメンのことを指してそう言っているみたいなんですけどね。その 「京風ラーメン」 なるものに対して、とりあえず一言。「こんなラーメン、京都にないぞ」 (笑)。京都のラーメンと言えば、天下一品と言い第一旭(京都なのか?)と言い日本一ラーメンと言い、こってりこてこてのラーメンばかりなんですけど……ねぇ。(^^; どうも京都の雰囲気への幻想がラーメンの味・名前に現れているような気がしてならないです(笑)。 ◇ 誰が始めたか知らないが薄味の京風ラーメンというものがある。これなんか 「だし」 にこだわる文化のイメージをデフォルメしたものだ。現実は本場の味は強烈だ。わかりやすい例では、こってりラーメンの天下一品は京都が発祥の地だ。京都が学生の町だったからこってりしたとの異説もあるが、私は「だし」にこだわる文化の一つの現れと解釈している。食べ方は大阪のお好み焼きと同じでおかずとしてで、「ラーメン」 と注文すると間違いなく 「兄ちゃんご飯は?」 と聞かれる。 ◆ 京大にもいたことがある東大の先生もこう書いている。 ◇ 天下一品といっても、関西以外に住む人にとっては、何のことだかわからないに違いない。天下一品とは、京都を発祥の地とするラーメン屋のチェーン店のことで、京都では 「ぎょうざの王将」 と並び称せされるくらいに有名であり、その天下一品のラーメンこそが、本当の京風ラーメンと呼ぶべきものである。俗に京風ラーメンと呼ばれているアッサリしたラーメンがあるが、あんなものは観光客のための食べ物でしかない。本当の京風ラーメンとは、店ができた頃から煮込み続けたとしか思えないような、ギトギトの油ぎった何が入っているのか見当さえつかない豚骨スープのラーメンであり、しかも、チャーシューが鉢一面を麺が見なくなるくらいに覆っていて、その上、ニンニクまで入っている、というしろものなのである。もちろん、ラーメンだけを食べることは少なく、油ぎった鳥の空揚げか、少なくとも、ぎょうざを注文して、ライスと一緒に食べる。 ◆ ちなみに天下一品のスープは豚骨ではなく鶏ガラ。天下一品については 《超弩級らーめん・天下一品》 にかなり詳しい。ぜひ一読を。 |
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