MEMORANDUM

  鵜の味

◆ もうひとつだけ鵜のハナシ。チェンバレンの 『日本事物誌』 からの引用をこれまで何度か原文でしたけれども、これはなにも英語でこの本を読んだということではなくて、訳本を拾い読みして、おもしろそうな箇所があれば、その箇所を原本と照らし合わせているだけのハナシで、たいしたことはない。チェンバレンの英語はワタシにはやや難しい。というわけで、今回は日本語訳からの引用。

◇ グレゴリー氏はさらに言っている。--漁師たちは、この鳥をとても大事に飼うので、夏には、気持ちよく過せるように蚊帳を吊ってやるほどである! --はたしてそれほど極端な心づかいを受けているかどうか、著者は個人的には保証できない。実は、涼しい季節はずれのときだけ、この鳥を見た (そして、悲しいかな! 味もみた) のだが、彼らは漁師の家の籠の中でぶらぶらと毎日を送っていた。
チェンバレン 『日本事物誌 1』 (高梨健吉訳,東洋文庫,p.133)

◆ グレゴリー氏がだれなのか、なんてことはどうでもよくて、ワタシがこの文章で惹かれるのはただ一箇所。なんというユーモアだろう。鵜の姿も見たけど味もみた、とは! やはり焼き鳥にしたのだろうか。こういう箇所に出会うと、原文が読みたくなる。さっそく見てみると、

◇ Mr. Gregory further says that the fishermen take such care of the birds that they provide them with mosquito-nets during the summer, in order to minister to their comfort! We cannnot personally vouch for such an extreme fo solicitude, having seen (and alas! smelt) the birds only during the cool off-season, which they idle away in baskets in the fishermen's houses.
Basil Hall Chamberlain, Japanese Things, (Tuttle, p.105)

◆ 見てみたが、よくわからない。問題の 「そして、悲しいかな! 味もみた」 のところは、“and alas! smelt”。smell に味見をするなんて意味があるのだろうか? 鵜を間近で見たので、嗅ぎたくもない臭いまで嗅いでしまった、ということでは? それ以上はワタシにはわからない。万が一、これが誤訳だったら、そこに惹かれたワタシはなんだかなあ!

◆ ちなみに、英語でウは「cormorant」。ラテン語の “corvus marinus” つまり 「海のカラス」 に由来するとか。

◇ The word Cormorant is derived from the French which is derived from the Latin "Corvus marinus," or Sea Crow.
www.stephencresswell.com/birds11.html

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