MEMORANDUM

  おひょろさま・のんのさま・まんまんさん

◆ 東京に二十年近くも住んでいるのに、七月のお盆にはいっこうに慣れないから、ブログやなんかでいわゆる 「東京盆」 のハナシをあれこれ読んでも、まったくの他人事である。

◇ 東京はお盆 (新暦) である。13日には迎え火をたいた。16日に送り火をたくまでは、仏壇飾りに仏様用の食事 (小さな器にご飯・汁と三菜を盛ったもの) のほかに、(先祖の霊が) 来る日はだんご、滞在中はそうめん、(あの世に) 帰る日は塩むすびを供えるのだと祖母に教わった。その祖母も向こうの人となってしまい、現在はめでたく帰省中である (おかへり♪)。
ishiko.way-nifty.com/ytmlog/2005/07/post_2db1.html

◆ が、しかし、これに続けて、《祖母は確か、盆に帰ってくる先祖の魂のことを 「おひょろさま」 と呼んでいた》 と書いてあるのを読んで、ガゼン興味がわいた。

◇ この言葉は、子どもには非常に怖かった。夜中のお雛様も怖いが、夜中に見る盆の祭壇も怖い。しかもそこにいるのは 「おひょろさま」 である。その言葉から、火の玉がひょろひょろと飛んでいる様子を頭に浮かべたものだ。だから夜中に目を覚ますことがないよう、盆は一生懸命目を閉じて眠った覚えがある。
Ibid.

◆ おひょろさま! なんとイメージ豊かなコトバだろう。いくぶんひょうきんでもあるが、肉体をもたないものを表すのに、これ以上に最適なコトバは容易には思いつかない。

◇ 「おひょろさま」 とは、恐らく、お精霊様 (おしょうろさま) のことであろうが、僕が子供の頃は、「おひょろさま」 は独特な雰囲気を持った、そして、日常に密着した、こころの儀式だった。
ameblo.jp/nagayoshi/entry-10002863247.html

◆ しかし、この 「おひょろさま」、Google でもほとんどヒットしないのがやや不思議。そんな疑問はさておき、引用を続けると、

◇ 「おひょろさま」 のほかにもう1つ、「のんのさま」 という言葉がある。祖母の言動からすると、それは (仏壇にいる) 仏様のことらしい。盆に帰ってくるのは「おひょろさま」だが、普段、仏壇にいるのは 「のんのさま (のんのさん)」で、よそから頂いた初物の果物などは、まずは 「のんのさんにあげて」、しばらくして下げたものを家族で食べるのだ。
ishiko.way-nifty.com/ytmlog/2005/07/post_2db1.html

◆ 「おひょろさま」 も 「のんのさま」 もワタシにはなじみのないコトバだけれど、「まんまんさん」 ならよく知っている。

◇ ハナは おしょうがつに おとうさんとおかあさんと いっしょに みずほのおばあちゃんちに いきました。なぜ、おばあちゃんちと よぶかというと もう おじいちゃんはいないからです。おばあちゃんちに いったら きんぴかのタンスをあけて 「ちーん!」して 「まんまんさん、あっ」 ってやります。そのとき 「いただきます」 のときと おなじように てをあわせます。そのきんぴかのタンスのなかに おじいちゃんは いるのだそうです。おじいちゃんは ハナより ちいさいみたいです。
www.ohchi-gun.or.jp/novel_14/44.htm

◆ ワタシも子どものころ、「きんぴか」 ではなかったけれども、仏壇の前で、手を合わせ、意味もわからず、「まんまんさん、あん」 と言ったものだった。

◇ 京都生まれ、京都育ちの私です。「まんまんちゃんあん」 は、仏さんにお祈りする時使います。「まんまんちゃん」→まんまんさん、つまり仏さんの意味で、「あん」は拝みながら最後に言ってました。たぶん 「ハイ」 とか 「うん」 とか、そういう言い回しだと思います。よくお婆ちゃんに言ってもらってました。方言って良いですよね^^
www.fururu.net/user/taka3/20040414093211

◆ でも、「まんまんさん」 って不思議なコトバは、どこから来たのかな?

◇ 主に西日本だが、仏様 (仏陀ではなく故人の方) を「まんまんさん」と呼んだり、手を合わせるときにそう唱えたりする地域がある。「南無阿弥陀仏」 を真似た幼児語だと思われる。
www.sam.hi-ho.ne.jp/~shuno/speech/031123.htm

◇ 「まんまん」 とは、お経の 「なんまいだ」 つまり 「南無阿弥陀仏」のこと。「なむあみだぶつ」 と唱えるだけで、死後、極楽へ導いてくれる阿弥陀如来。転じて仏様の意。近畿などでの言い方。まんまんちゃんにあんしてき。まんまんさんが見てるで。中国、四国などでは 「のんのんさん」。
cgi.members.interq.or.jp/osaka/inside/osakaben/bunpou.html

◆ 阿弥陀如来のこと? では、もともとは浄土真宗系のコトバなのかな? まあ、そんなことはどうでもいい。「まんまんさん」 ほかいろんな呼び名があるようだけれど、それはとりもなおさず、死んだおばあちゃんであり、おじいちゃんのこと。

◇ 「なんなさん」 の他にも、「なんなんさん」、「のんのさん」、「のんのんさん」、または「まんまんさん」、「まんまいちゃん」 などなど、仏壇は全国各地で実にさまざまな呼称で呼ばれていることが判明しました。私はなんと呼んでるかなあ、ということを考えてみたんだけどさー。我が家に仏壇が導入されたのは父が死んだときでありまして、その仏壇はただいま母の家にあるわけなのですが、母の家を訪れた際にその仏壇をなんと呼んでいるか、といいますと、「おじーちゃん」 と呼んでいる気がするんだよねえ。
homepage1.nifty.com/meimei/nikki/2002/nikki200212.htm

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COMMENTS (2)

タネ - 2005/07/28 15:45

うちの婆さんは「おしょろいさん(さま)」って言ってましたね
そうかお精霊様  おしょうろうさまがほんとですね
音だけで使ってきていて、字面は考えたことなかったです 
なるほど

あまの - 2006/07/18 20:58

でも、盂蘭盆は昔から7月15日ときまってるから、この時期にするか、あるいは旧暦の7月15日(2006年の今年は8月8日、来年は8月27日)にすべきで、一月ずらして8月15日ちうんが一番根拠のない盆だと思えるんですがね。

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