MEMORANDUM

  内覧会・ヴェルニサージュ

◆ 先日スポーツ新聞の芸能欄を読んでいたら、こんな記事が目についた。電子版から再録すると、

◇ シンガー・ソングライター福山雅治(36)が15日、鳥取県内にある「植田正治写真美術館」の開館10周年展覧会の内覧会に出席した。福山は著名写真家の植田さんから強く影響を受け、写真家として本格的に活動し始めた。
www.nikkansports.com/ns/entertainment/p-et-tp0-050716-0001.html

◆ そもそも福山雅治が音楽活動のほかに、写真もやっていて、「テレビ朝日の公式カメラマンとして00年シドニー五輪、04年アテネ五輪に参加。個展を開くなど写真家としても活動中」 であることも初めて知ったが、それはさておき、気になったのは (福山雅治とはまったく関係ないことだが)、「内覧会」 というコトバである。ワタシにとって内覧会というコトバは、これまで (仕事がら) 新築マンションなどの住宅とのつながりでしかイメージされておらず、この記事で美術展覧会にも用いられるのを知って、このコトバにたいするイメージに多少の修正を余儀なくされた。《goo 辞書》 で 「内覧会」 を引くと、

◇ 限定された人に対して,何かを披露する会の総称。新規店舗が正式開店に先駆けてマスコミや関係者などを招いて行う見学会や,建築業者が新築住宅に購入者を招いて行う完成披露会など。
三省堂提供「デイリー 新語辞典+α」より

◆ とあり、もともとは不動産関連の用語で、それが美術界にも転用されたのではないかと思うが、違うかもしれない。ワタシが美術展の内覧会にあたるコトバとしてこれまで知っていたのは、「ヴェルニサージュ」 (vernissage) というフランス語だった。

◇ 「ヴェルニサージュ」ということばは、文字どおりには油絵の仕上げとしてニスをかけることを意味するのだが、それがしばしば、展覧会がオープンする直前、アトリエから会場に絵をもちこんで行なわれたところから転じて、展覧会開幕前の内示日ないし初日を指すようになり、現在でもこの意味で用いられているらしい。
www.museum.pref.mie.jp/miekenbi/hillwind/hill_htm/hill65_4.htm

◆ らしい、は不要で、実際に用いられている。

◇ A vernissage (varnishing, from French), also known as a preview or private view, is the ceremonial start of an art exhibition. It is usually a social event that people attend to show up, strolling around with glasses of free sparkling wine and canapés, talking to artists about the works in the exhibition.
en.wikipedia.org/wiki/Vernissage

◆ なるほど、シャンパンとカナペを目当てにやってくるひとも多いかもしれなくて、

◇ フォトグラファーの Exposition (展覧会) がパリ3区の小さな会場で行なわれました。この日は Vernissage (ヴェルニサージュ)、オープニングの日だったのでシャンパンを期待しつつのお出かけです。
3soleils.blog3.fc2.com/blog-entry-99.html

◆ 最後に、《The Digital Artist》 の 「Art and Design Dictionary」 でみつけた Vernissage のほどよい説明。ターナーの逸話は有名。

◇ A private showing, preview, or opening of an art exhibition -- an event marking the start of an exhibition. This word was used with increasing frequency in the United States in the last decade of the 20th century. Vernissage has its roots in the old practice of setting aside a day before an exhibition's opening for artists to varnish and put finishing touches to their paintings -- a tradition that reportedly dates to at least 1809, when it was instituted by England's Royal Academy of Arts. One famous member of the Academy, Joseph Mallord William Turner (English, 1775-1851), was notorious for making major changes to his paintings on this day. English speakers originally referred to this day of finishing touches simply as "varnishing day," but sometime around 1912 we also began using the French term "vernissage" (literally, "varnishing").
www.thedigitalartist.com/Dictionary/vernissage.shtml

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