◇ 勝手に増えているものがある。 ◆ と始まるような文章をふと読み始めて、この読み始めた文章のジャンルは何かと訊かれたら、ワタシなら小説と答えると思う。つづけて、 ◇ たとえば、毎週月曜日の化学の時間に使っている席の、机の落書きとか。 ◆ と書かれているのをみて、なおさらそう思う。主人公は高校生か大学生。そのあとにいったいどんな筋書きが待っているのだろう。〔とここまでを、去年の11月23日に書いた。〕 ◆ そして、その机の落書きはドラえもんであったりする。この文章の作者は、これは日記だと主張しているが、それはそれでかまわない。小説のような日記があって、困ることなどなにもない。というか、それはじっさいに日記なので、小説のような気がしたのは、たんなるワタシの印象にすぎない。同じ作者は、最近こう書いている。 ◇ 朝のうちに日記を書こうとするとこんなにつまらないのである。まだ何もしていないからだ。 ◆ 思わず笑みがこぼれる。日記であることは間違いない。間違いないが、ふつうの日記作者なら、「まだ何もしていないからだ」 などとは書き足したりはしまい。そんな余裕はないだろうと思う。ネットで無数のひとが私的な日記を公開しているが、覗き見趣味でなければ、他人が読んでおもしろい日記というのは、そうそうあるものではない。もちろん、日記というのは、他人をおもしろがらせるために書くわけでもないのだろうから (そのへんはワタシにはよくわからない)、頼まれたわけでもないのに他人の日記を読んで、おもしろくないなどというのは、勝手な言い草だろう。でもどうせ読むなら、日記はおもしろいほうがいい。そして、たいていの場合、日記がおもしろいかどうかの境界には、作者が他者を意識 (内なる他者であってもかまわない) しているかどうか、いいかえれば 「他者への配慮」 という問題が根底に横たわっているように思えるのだが・・・。どうもハナシがむずかしくなってしまった。 ◇ 父が自らプライバシーを放棄したかのような大声で電話をしているのでとてもうるさい。電話越しの相手に向かって話しているのではなく、電話と話しているのかもしれない。電話は耳が遠いのかもしれない。いや、それとも家全体と会話をしようと試みているのであろうか。自室にいてドアを閉めているのに「居間と」会話を楽しもうとしているのだろうか…。 ◆ いずれにせよ、こんな日記を読むのは、とても愉しい。引用した文章はいずれも 《MANBOU'S WEBSITE》 の 「翻車魚の不毛日記」 から。 |
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