MEMORANDUM

  献名

◆ 新種の動植物を発見した場合、学名・和名をつけるにあたって、当該分野での先達に敬意を表し、その人名を織り込むことが少なくない。これを献名という。で、なかにはこんな献名も。

◆ イノウエイレコダニ。学名 Hoplophthiracarus inoueae。ダニの分類学者の青木淳一が、新種のダニを発見して、世話になった女性へのお礼のつもりで、献名したハナシ。

◇ 箱根の仙石原に箱根湿生花園というのがある。そこの湿原植物の面倒をみている植物の専門家、井上香世子さんという人がいる。その人の案内で湿原の中のダニを調べさせてもらったところ、かわいらしいイレコダニのなかまの新種が見つかった。そこで、イノウエイレコダニという名前をつけてあげた。ところが、彼女はあまり喜んだ顔をしてくれない。「ダニなんかに、私の名前をつけてもらっても、うれしくないわ」 ということらしい。美しい蝶では、もう新種は見つからないし、困ったものだ。
青木淳一他編著 『虫の名、貝の名、魚の名』(東海大学出版会,p.44)

◆ アッコヒメシモフリヤチグモ。学名 Coelotes acco。女性研究者のニックネームに由来。命名者は日本蜘蛛学会会長も務めた西川喜朗。

◇ 発見者の名にちなんだ献名というのはクモの学名・和名でも多いのだが、斎藤明子さんのニックネームに 「姫」 までつけてしまったのは、1987年命名とはいえ、ナウいといえよう (西川喜朗)
www.geocities.co.jp/HeartLand-Namiki/3684/fact4.html

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