◇ 先日の日本アカデミー賞で映画「血と骨」で主演女優賞を受賞した鈴木京香(36)。女優として最高の栄誉を手にしたばかりなのにまた大役が回ってきた。TBSが3月21日と22日に2夜連続で放送するドラマ「青春の門―筑豊篇―」で主役のタエ役を演じるのだ。炭鉱町でたくましく生きる人間像を描いた作家・五木寛之氏のベストセラーのドラマ化だ。 // 「青春の門」の映像化は今回で5回目。映画化が2回、ドラマ化が2回で主役は吉永小百合、小川真由美、松坂慶子、黒木瞳と、いずれ劣らぬ大物が演じてきた。京香は大役に抜擢されたことに対して「身震いする」とコメント。これまでは原作の内容をよく理解していなかったようで、「ボタ山って何のことかわからなかった」などと語り、あらためて原作を読み直してロケに臨んだという。
news.www.infoseek.co.jp/entertainment/story.html?q=03gendainet07116611
◆ このドラマ、トヨエツも出るらしいので、ぜひ観たいものだが、ウチにはテレビがないのがちょっと問題。それはともかく、鈴木京香の 「ボタ山って何のことかわからなかった」 というコメントにすこしコメント。
◇ 世代によっては、福岡といえば筑豊、ボタ山を連想される方もいるかもしれません。青春の門のイメージとしてボタ山が浮かんでくるという方もいらっしゃるでしょうね。
www.geocities.jp/hokutoflag1/simetanko.htm
◆ そもそもボタ山とはなにかというと、
◇ 採掘された鉱石から除かれた不要の捨石を「ボタ」、あるいは「ズリ」と言い、これらを捨てた場所が山となってボタ山と呼ばれた。ボタ山を漢字にすると「硬山」と書き、正式名は鉱山保安法で「捨石集積場」と呼ぶ。 // なお、三池炭鉱においてはボタを海に捨てていたのでボタ山というものは無い。
www.miike-coalmine.net/memo.html
◆ そのボタ山もいまは多くが消え失せた。消え失せてどこへ行ったのかというと、
◇ 新幹線の走る盛り土は、筑豊の象徴であるボタ山を崩して作られたものだ。全国でも例がなく、盛り土の沈下が懸念され、開業後の小倉~博多駅間では、トンネル区間を除いて徐行運転を余儀なくされていた。
kyushu.yomiuri.co.jp/magazine/gatagoto/gatagoto04/gago040804.htm
◆ なんと新幹線の下敷きになっていたのだった。あるいは、「第145回国会 石炭対策特別委員会 第5号平成11年5月26日(水曜日)」 の会議録で自民党の山本幸三がこんな発言をしている。
◇ ボタ山というのは今、平たくして木が生えていまして、何となくいいじゃないか、ゴルフ場にも使えるんじゃないかということなんですが、実は、これがまた厄介者でして、野焼きしたりすると地中に火がついてしまうんですよ。
www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/002314519990526005.htm
◆ どうしてボタ山跡にゴルフ場を作る必要があるのかわからないけれど、ワタシはゴルフというものがキライなので、ゴルフ場にならなくてまったく幸いである。
◆ ところで、このボタ山という呼び方は九州のものであって、北海道ではズリ山と呼んだ。北海道には新幹線がまだないので線路の下敷きにはなっていない。緑地化され公園として整備されているところが多い。たとえば、ワタシの友人の住む万字というところでは、ズリ山が万字炭山森林公園となっている。写真の雪に覆われた白い 「山」 が万字のズリ山 (2003年2月5日)。
◇ 平成10年にオープンした万字炭山森林公園。園内には、ずり山の直線階段775段を含む2,468段の階段があり、ずり山公園としては日本一を誇ります。周辺には、ツツジやシャクナゲなどの花や実のつく樹木が15,000本植栽されており、春の開花時期や秋の紅葉時期が見頃です!
www.dosanko.co.jp/kurisawa/park/manji/index.html
◆ 実のところ、ワタシは20代前半を北海道で過ごしたというのに、当時はズリ山というコトバを知らなかった。炭鉱のことなどなにも気にかけずに、ただただ遊びほうけていたのだった。