◆ 日本ではコーヒーのことを「珈琲」と書いたりもする。だから、 ◇ 王偏がつけられているあたり、かなり上流階級の匂いがする。 ◆ といった感想を抱きもするが、これは「王」偏ではない。 ◇ 宝石の名前は王偏のつくものが多いと思っていたら(瑪瑙、琥珀、瑠璃)、王偏じゃなくて、玉偏だったんですね。恥ずかしながら、今の今まで知りませんでした。ということは、理科の「理」はどういうわけで玉偏なんでしょうね。 ◆ 瑪瑙(メノウ)、琥珀(コハク)、瑠璃(ルリ) に玻璃(ハリ)、それから珊瑚(さんご)。玉偏のコトバを並べてみると、なんともいえず心地よい。「理」の字については、ひょんなところで、小椋佳が語っていた(講演会)。 ◇ 中国の古い字でありますが、これ一字で理(ことわり)と今呼びます。この理という字、理屈の理は実は王偏に里でなく、古くは玉偏に里だと言われています。玉と里が並んでます。一体何でしょう。玉は何でもない石ころを人間が創意工夫で磨きあげ、宝石に仕立て上げたものであります。何でもない石ころとは明確に区別された創造物であります。 ◆ 珈琲のことを書こうと思っていたのだが、「玉」と「王」の関係もなかなかおもしろくて、ハナシを元に戻せない。《小駒勝美の漢字こぼれ話》 にも、そのことに触れている文章があって(vol.15)、ためになる。 ◇ 鏡山部屋の相撲取りに以前「蔵王錦(ざおうにしき)」という四股名の力士がいましたが、姓名判断で1画増やすといいと言われたらしく、「蔵玉錦」と改名しました。読み方は改名後も「ざおうにしき」のままでしたが、これでは「くらたまにしき」としか読めません。 ◆ つぎは、数学者ピーター・フランクルのエピソード。 ◇ ちなみに彼は本当にすごいですよ。ピーターさんの講演会が地元であったので母が行ったのですが「今なら本にサインしますよ」と言われて、本を買ってサインしてもらったそうです。母は玲子と言うのですが、サインするとき名前の漢字を聞かれて、「王に命令の令」と答えたところ、「ああ、玉偏のレイね」と即答したそうです。「玉偏」ですよ「玉偏」!辞書には確かにそう書いてありますが、ついつい「王偏」って言っちゃいませんか? というより「王偏」が正しいと思っている人多いんじゃないでしょうか。すごいなあ。 ◆ たしかに、すごいなあ。おつぎは、自分の名前の漢字を説明するときの苦労について。 ◇ 私は「瑞」の字で苦労します。「端っこの「端」の字の、左側の「立つ」の字を玉偏に変えたものです。」とか「喘息の「喘」の字の口偏を玉偏に変えたもの」といいますが、理解不能な方が多いです。玉偏より王へんのほうがいいかな? ◆ 瑞穂さんかな? 「瑞」とはどんな玉なんだろう? |
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