◆ 東京の大手町で39.5℃を記録した夜に、頭のなかで鳴っていたのは、井上陽水の「かんかん照り」(『センチメンタル』,1972)という曲だった。これはなんの不思議もなくて、 ♪ 動かないことが一番いいと ねころんでいても 汗ばむ季節 ◆ このとおり、そのまんまの歌詞で、これほど体温とシンクロしている歌もあるまいと思わせるほどの暑苦しい歌で・・・ ◆ といったことを書こうと思って、いろいろ調べているうちに、暑いことには変わりはないけれど、いくぶん過ごしやすくなってきたので(連日39℃では、たまらない)、続きを書きそびれてしまった。というわけで、陽水のことを少々。 ◇ あっというまに受験浪人から歌手として芸能界に入ってしまった陽水。 / 上京後、中野区南台の小さなアパートにやってきた。 ◆ これが1969年のこと。ワタシが現在住んでいるのも南台の小さなアパートで、築30年以上は経っていそうだから、もしかするとこのワタシの部屋にかつて井上陽水が暮らしていたかもしれぬ。と想像するのは勝手だが、陽水のアパートは4畳半だったというハナシなので、そうしてワタシの部屋は6畳(も)あるので、たんなる妄想にすぎない。 ◆ 陽水のセカンドアルバム『センチメンタル』には、「かんかん照り」とともに「夜のバス」という曲も収録されていて、これもまた時おり頭のなかで鳴り響いていることがあるのだが、なかなか盛り上がる曲である。歌詞もなかなか。 ♪ バスの中は 僕ひとり どこにも止まらないで 矢のように走る ◆ 深夜の長距離バスのイメージだな。と思っていたのだが、本人いわく、 ◇ 渋谷の「ジャンジャン」や「青い森」(ともにライブハウス)が終わって、その頃中野か何かに僕は住んでたから、終わるとバスで帰ってた…なんかそのへんのことを曲にしたんですね。 ◆ (「中野か何か」という言い方にも惹かれるけれど、それはさておき) ということは、この「夜のバス」とは、ワタシがほぼ毎日乗っている渋谷駅発(幡ヶ谷経由)中野駅行、京王バスのことではないか? ◇ このアルバム6曲目の『夜のバス』も名曲です、当時、陽水が渋谷のライブハウス「ジャンジャン」を終えた後、中野のアパートまで帰るバスの様子を描いています。このバスは東急バスか? それとも関東バスか? ◆ と書いている人もいるけれど、これは京王バスでしょう(当時のことを調べたわけではもちろんない)。渋63系統中野駅行。それにしても、あんなバスに乗って、あんな曲を作るとは、さすが。 |