◆ 「辺」という漢字1字のお店があって、これを「なべ」と読ませる。ちょっとおしゃれな感じ。ダイニングバーとあるので、店内もきっとおしゃれなのだろう。オーナーは渡辺さんか田辺さんか。調べたら、渡辺さんだった。 ◆ ナベツネもなべおさみ・やかん父子も、名字は渡辺。 ◆ 埼玉県のどこだったかに〔いま調べたら、東毛呂駅前に同名の店があるようなので、ここだったのかも〕、「Casserole」(フランス語で「鍋」の意)というレストランがあって、マスターに店名の由来を尋ねたことがあるが、こちらも渡辺さんだった(ような記憶がある)。料理店に「鍋」だから、連想の点では、「辺」よりもさらにしゃれていよう。 ◆ 「鍋」はさておき、ハナシを「辺」に戻すと、《コトノハ》に「渡辺は『わたな・べ』なのか『わた・なべ』なのか」という質問がある。回答は、圧倒的に「わた・なべ」が多い。どちらかと選べと言われれば、ワタシも、なんとなく「わた・なべ」と答えるだろう。こんな回答もあった。 ◇ そういや小宮山はどこまでがミヤでどこからがヤマでしょうか ◆ いまは大臣のこのひとのポスターでは、「こ・み・やま」と振り仮名が振ってある。 ◆ 「渡辺」は2字で「わたなべ」と読むわけで、「わたな・べ」でも「わた・なべ」でもないと言われれば、たしかにそうだが、この質問がおもしろいのは、「渡辺(わたなべ)」から「辺(べ)」を引いたら「わたな」が残るし、「渡(わた)」を引いたら「わた」が残るというような「漢字の引き算」にあるのだろう。「小宮山」はその上級編といった感じがする。「渡辺」は2字で「わたなべ」と読むのだ、と言うひとは、「小宮山」は3字で「こみやま」と読むのだ、と言うのだろうか、それとも、「小宮山」の「宮山」は2字で「みやま」と読むのだ、と言うのだろうか? ◆ 「漢字の引き算」というようなことを考えて、すぐに思いつくのは、川崎の溝口を「ノクチ」と呼ぶのもそうだろう。あるいは、全国各地にある「ガオカ」高校。札幌の旭丘高校や福岡の筑紫丘高校をはじめとして、ガオカと呼ばれる高校は多い。 ◆ 「ガオカ」高校の上級編は、春日丘高校。大阪の茨木市にあるのが「かすがおか」高校で、愛知の春日井市にあるのが「はるひがおか」高校。これらの両校はじっさいには「ガオカ」とは呼ばれていないようで、《Wikipedia》によれば、茨木のほうは「かすこう」、春日井のほうは「はるひ」と呼ばれているらしいが、それはともかく、「漢字の引き算」の問題として考えれば、いろいろとおもしろい。茨木の春日丘から「ガオカ」を引いたら「カス」が残って、だから「かすこう」というのか?、いやたんに語呂のせいだろうな、などと考えたあとに、ああ、この「春日丘」の場合は「かすががおか」ではなくて、春日だけで「かすが」と読むのだから、そもそも他の「ガオカ」高校とは種類が異なるのだった、ということにようやく気がついても、今度は「春日」はなぜ「かすが」と読むのだろう、とまたべつな問題が出てくる…… |
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