MEMORANDUM

  四つ目のミシシッピー

◇ 見ているのに、見えていないものって、案外たくさんあるのかもしれないね

◆ と、おともだちの霧さんが書き写したのは、三崎亜記の短篇「彼女の痕跡展」の一文だそう。では、

◇ 「目が四つあるけど見えないものなあに?」子どものなぞなぞである。答えはミシシッピ(Mississippi)。つづりの中に四つの「i」(=eye 目)があるからだ。
ジェームス・M・バーダマン『黒人差別とアメリカ公民権運動』(水谷八也訳,集英社新書,p.199)

◆ "What has 4 eyes but can't see?" "2 blind people" などと答えるひねくれ者もいるようだが、このなぞなぞ(riddle)は、映画『ミシシッピー・バーニング』(Mississippi Burning, 1988)にも出てくる。冒頭近く、FBI捜査官(役)のウィレム・デフォー(Willem Dafoe)とジーン・ハックマン(Gene Hackman)が、三人の公民権活動家が行方不明になった事件の捜査のために、ミシシッピー州の現場に車で向かっている。州境で「Welcome to Mississippi」の看板を目にしたハックマンは、思い出したように、デフォーに問いかける。

ー What's got 4 eyes and can't see?
ー What?
ー Mississippi.

◇ なぞなぞはさておき、黒人住民の扱いを変えるということに限っていえば、ミシシッピが「見えていなかった」というのは実に重い事実を言い当てていた。当時、人口の四十五パーセントを黒人が占め、黒人の割合は南部のどの州よりも高かったミシシッピ州は、黒人に対する殴打、リンチ、未解決の行方不明者の数、そして人種的憎悪の強さにおいてはアメリカ一であった。このようなことでミシシッピ州に匹敵するのはアラバマ州だけだろう。
 まさにそのような理由のため、公民権活動家は一九六四年に「フリーダムーサマー」キャンペーンをミシシッピ州で行う計画を立てた。平均年齢二十一歳の約八百人のボランティアが、その夏ミシシッピ州で活動する契約をした。その四分の三は白人で、約三百人が女性であった。

Ibid., p.199-200

◆ 1964年6月21日、「フリーダムーサマー」に参加した3人の若者がミシシッピ州で惨殺された。それから41年後の2005年、

〔2005/06/23〕 【ニューヨーク23日共同】米ミシシッピ州で1964年、公民権運動活動家3人が殺害された事件で、同州ネショバ郡巡回裁判所は23日、白人優越主義者の秘密結社クー・クラックス・クラン(KKK)元幹部エドガー・レイ・キレン被告(80)に対し、3件の殺人罪で計60年の禁固刑を言い渡した。米南部の人種差別の根深さを如実に示し、映画「ミシシッピー・バーニング」(88年)の題材ともなったこの事件では、同裁判所陪審が事件発生からちょうど41年後の21日、有罪評決を下していた。黒人の有権者登録を支援していた活動家3人は64年6月21日にKKKメンバーに連れ去られ、銃殺後に遺体で発見された。陪審は、キレン被告が一連の行為を組織したとの判断を示していた。
www.47news.jp/CN/200506/CN2005062301005058.html

◆ 四つ目のミシシッピー、その目はいくつ開いたのだろう?

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COMMENTS (1)

ミシシッピーバーニングを観て、アメリカの公民権運動に興味を持ちました。
ジェームス・M・バーダマンさんの本は、上にご紹介していただいた書籍とは別の本ですが読んだことがあります。南部が抱える問題をとても分かりやすく解説してくださっていますね。なんと著者は20世紀のはじめにミシシッピー州の知事だったジェームス・キンブル・バーダマンのひ孫に当たる方なんですね。『黒人差別とアメリカ公民権運動』も是非読んでみたいと思います。

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