MEMORANDUM

  パチもん

◆ 昨日の「天声人語」に、

◇ ホンダ、ソニーと紛らわしい「HONGDA」のオートバイや「SQNY」の乾電池が出回った国である。中国のコピー癖に今さら驚きはしないが、国の威信をかけたイベントまでとはニセモノ天国も半端じゃない。
 上海万博のPRソングが岡本真夜(まよ)さんのヒット曲にそっくりな件で、万博実行委が岡本さん側に「あの曲を使わせてほしい」と申し出た。

www.asahi.com/paper/column20100421.html

◆ 「HONGDA」のオートバイに「SQNY」の乾電池、思わず笑ってしまうこの種のネーミング。「パチもん」というコトバがすぐに浮かんだが、これは関西方言だったか? 標準的なコトバでは「コピー商品」?

〔日本語俗語辞書〕 パチモノは関西で盗むという意味の「ぱちる」と「品物」の合成語で、デザインや機能を盗んだ品物ということから、こう呼ぶようになったという説、また「うそっぱち」のパチからきたという説もある。「パチモン」と崩した言い回しのほうが広く浸透している。
zokugo-dict.com/26ha/pachimono.htm

◆ さらには、「コンパチブル(compatible)」のパチからという説もあるらしいが、これはどうだろう。関西出身のワタシとしては、「ぱちったモノ」を語源とするのがしっくりする。この「モノ」はたいていは「物」だろうが、「者」の場合もないとはいえない。「パチ者(もん)」の例を、先日9日に亡くなった井上ひさしの小説から。

◇ 「旦那さん方もずいぶん耄碌しているんだね。ビラの字がよく見えなかったんだろ。ビラには“ちあき おみ”“五ひろし”と書いてあったはずだよ」
 六人はあまり莫迦々々しくて笑う気にもなれず、黙々とコップを口に運んだ。
「うちにはね、ちあき おみや五ひろしのほかにも、美空ばりとか、三波春とか、施明とか、北三郎とか、前寺清子とか、由紀おりとか、朝丘路とか、んからトリオとか、凄いのがいるんだよ」
 金歯が、得意なのか自棄(やけ)なのか、どっちかわからないような口調で説明した。老ホステスが手酌でビールをぐい飲みしながら、
「司会者にも凄いのがいるんだよ。まず、置宏だろ、宮尾か志だろ、そいから高橋三だろう。こないだなんか田輝もやってたもの」

井上ひさし『浅草鳥越あずま床』(新潮文庫,p.65)

◆ いや、「パチ者」の入力は面倒だものだな。

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