◇ 「今日は赤テントウだ、きっといいことあるぞ、僕は黒テントウ、はずれ!」(赤テントウとはナナホシテントウムシのことで、赤地に七つの黒い斑点。黒テントウとは、ナミテントウムシで、黒地に赤い斑点がある)、バラの花の裏面にびっしりついたアブラムシを食べによく集まるのがテントウムシだった。
町田忍 『昭和なつかし図鑑 私が原っぱの少年だったころ』(講談社文庫,p.162)
◆ 都庁に巨大な2頭のテントウムシがいた。赤テントウと銀テントウ。これはアタリかハズレか? 調べると、宮本信夫の「TENTO MUSHI」という「芸術作品」、いや都庁の用語では「アートワーク」というものらしい。
◇ 〔都庁見学のご案内:アートワーク〕 都庁舎には彫刻やレリーフなど38点のアートワークが設置されています。日本の現代美術を代表する作家や代表的な外国の作家のほか市民や若手作家による公募作品(No.31~38)もあります。都庁を一周しながら、ぜひ見学してみてください。
www.yokoso.metro.tokyo.jp/p-art/artwork.htm
◆ せっかくだから、38点の「アートワーク」をネット上で「見学」してみたが、芸術的感性に欠けているせいか、ほとんどなにも感じるところがなかった。それでも、なにか感想を言おうとすれば、
◇ 町の中に彫刻を並べれば並べるほど、文化が向上すると考える人たちがいるらしい。行政が音頭をとり、十メートルおきに彫刻が並んだ道さえある。
しかし、いうまでもなく、並べればよいというものではない。と書けば、電信柱や広告看板が立っているよりはましではないかと反論されるだろうが、本当にそうだろうか。
電信柱が醜いと誰かが言い出せば、たちまち毛嫌いされてしまうように、今は「美しい」屋外彫刻の多くが、そのままで、やがてガラクタと化す日がくるに違いない。
現に、戦前の日本の街角に立っていた軍人の彫刻を、今ではもうほとんど見ることができない。代わって、匿名の裸婦像や抽象彫刻が幅をきかせているのだが、それだって、いつ市民からそっぽを向かれるかわかりゃしない。
木下直之 『ハリボテの町』(朝日新聞社,p.26)
◆ といったものになるような気がするので、書かない。