MEMORANDUM

  神明宮の中原中也

◆ 金沢市野町、犀川大橋のほど近くに神明宮はあった。

〔るるぶ.com〕 樹齢1000年の大ケヤキがそびえる神社。前田家の手厚い保護を受けた金沢旧五社の一つで、地元の人には「おしんめさん」の愛称で親しまれている。詩人・中原中也が子供の頃、境内で開かれたサーカスによく出かけたとか。5月と10月に行われるあぶり餅祭は、300年以上続く厄除けの伝統特殊神事。一家揃ってお祓いの火であぶった餅を食べ、厄を祓う。
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◆ そもそも中原中也が金沢にいたことさえ知らなかったのだが、「サーカス」という詩は、幼少時にこの神明宮で見たサーカスの光景がモチーフになっているらしい。

  頭倒(さか)さに手を垂れて
  汚れた木綿の屋根のもと
  ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

  中原中也 「サーカス」(『山羊の歌』所収,青空文庫

◆ たしか国語の教科書にも載っていたが、中学だったか高校だったか。神明宮の境内の隅には摂社の蛭児太神宮。エビスと読むのかヒルコと読むのか。五体満足な体に生まれなかったため、葦船に載せて流されたという蛭児の神話。そういえば、中也も長男をわずか2歳で亡くしている。「亡き児文也の霊に捧ぐ」という副題が付された詩集『在りし日の歌』の「この小児」という詩。

  地球が二つに割れゝばいい、
  そして片方は洋行すればいい、
  すれば私はもう片方に腰掛けて
  青空をばかり ――

  中原中也 「この小児」(『在りし日の歌』所収,青空文庫

◆ ワタシが神明宮を訪れたのは11月1日。朝はまだ青空も見えていたが、午後から土砂降りになった。

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