◆ いつのころからか目にするようになった、ばかでかい、エリンギ。この奇妙な名前をもつキノコを、なぜだか(なぜだろう?)中国原産だと思いこんでいたが、そうではなかった。《Wikipedia》によると、
◇ イタリア、フランスなど地中海性気候地域を中心として、ロシア南部、中央アジアなどのステップ気候地域までを原産地とし、主にセリ科のヒゴタイサイ(エリンジウム属)の植物(Eryngium campestre)の枯死した根部を培地として自生することから命名された。
ja.wikipedia.org/wiki/エリンギ
◆ エリンギという名前も、もちろん中国語であるはずがなく、学名 Pleurotus eryngii の種小名 eryngii から採られたにすぎなかった。この eryngii がどういう意味かを調べる必要はもうない。上の引用に回答が出ている。シイタケが椎の枯れ木から生えるように、エンリギはエリンジウム(エリンギウム)の枯れた根から生えるものらしい。エリンジウムという花を実際に見たことはないが、あちこちのサイトの画像を見ると、アザミにやや似ている。
◇ The scientific name Eryngium is from the Greek word for thistle - the flower heads do indeed resemble thistles.
www.highbeam.com/doc/1G1-182423299.html
◆ エリンジウムとエリンギ。
◇ 「エリンジューム」・・・難しい名前。まるでエリンギのような名前だなと思いつつメモメモ。
blogs.yahoo.co.jp/it_yum/37323961.html
◇ このエリンジューム、面白い形のお花です。でも、それ以上に面白かったのが先生。だってエリンジュームを「エリンギ」って言ったんです(笑) わざとじゃなく、しっかり間違えて言ってるんです。
blog.goo.ne.jp/soratosora/e/88cad7acfe6a4e39439da446778cc133
◆ エリンジウムの花を見て、それがエリンジウムという名だと知って、エリンギを――エリンジウムと語源的なつながりがあるとは考えもせずに――思い浮かべることのできるひとは、なんと語感のすぐれたひとだろう。
◆ 《Wikipedia》のつづきには、
◇ 原産地域ではもともと人気のある食用キノコで、フランス料理やイタリア料理などの定番食材のひとつである。
ja.wikipedia.org/wiki/エリンギ
◆ とあるが、どうだろう? フランスでは(イタリアは知らない)、日本のように農家が栽培しスーパーに大量に出回っているといった状況ではなさそうで、自生のものを「キノコ狩り」の季節にローカルで食べているぐらいのものではないだろうか。それほど知名度が高いわけでもなさそうだ。
◇ Pleurote du Panicaut (Pleurotes Eryngii), qui pousse sur les tiges du Panicaut, est très bon et se vend d’ailleurs, sur les marchés de La Rochelle, de Bourges et de Perpignan ;
www.gloubik.info/sciences/spip.php?article271
◆ また、エリンギをアジアの食用キノコとして、エノキ・シメジ・マイタケと並べて紹介している記事もあり、
◇ L’eryngii, de la famille des pleurotes, est le champignon qui entre traditionnellement dans la farce des raviolis chinois,
www.fureurdesvivres.com/news/petit-guide-culinaire-des-champignons-asiatiques-selon-william-ledeuil
◆ 適当に訳せば、「エリンギは、中国のラビオリにふつうに入っているキノコ」だそうで、「中国のラビオリ」とはギョウザのことだろうなと考えながら、別なサイトで横浜中華街の中国人シェフが、
◇ 中国では、シイタケをはじめ、シメジやマイタケ、フクロタケなど、本当に様々な種類のキノコが昔から食べられています。ただ、エリンギをいろいろな食べ方で中華料理に取り入れている点では、中国よりも日本の方が先を行っていますね。/ 実際のところ、中国ではエリンギはまだほとんど食べられていません。横浜中華街でも、エリンギが食材として広く出回るようになったのは、つい5~6年前のことなんですよ。
www.gnavi.co.jp/china/season/200612/season_food.shtml
◆ と言っているのを聞くにつけ、わけがわからなくなってしまった。もしかすると、エリンギを世界で一番食しているのは、日本なのでは? そんな気もする。写真のエリンギはバターで炒めて食べた。