◆ 「お便所」から「お電話」へ。 ◇ (課長に)課長、○○商事から電話です。 ◆ というのが一般的なビジネスマナーらしいけれども、電話に「お」をつけるかどうかの区別が、マナーの問題ではなしに、ひどく重要な意味をもっていたことが、かつて、携帯電話が普及する以前に、ある特定の場所で、あった。 ◇ 電話といえば、「おお電話、お電話、電話」の区別はまだありますか? 意外なやつへの「お電話」は盛り上ったもんです。〔一部改変〕 ◇ 私がいたころの、電話の呼び出し「電話です」「お電話です」「おお電話です」の区別はもはや継承されていないんでしょうね。 ◆ おわかりだろうか? ◇ 電話といえば、あの頃、寮に電話がかかってくると寮内放送で呼び出しがかかった。なんてことのない男からの電話は「電話です」と放送され、女の子からの電話は「お電話です」と放送された。親からの電話は「大電話です」となっていた。 ◇ このとき、(A)かけてきた相手が男性の場合には『……電話です』、(B)かけてきた相手が女性の場合には『……お電話です』、(C)かけてきた相手が親の場合には『……おお電話です』、というのがきまりだ。それによって、場合によっては居留守を使うこともできる。いっぺんぐらい『お電話』に居留守を使うような男になってみたかったものだが、 ◇ 寮にかかってくる電話は電話当番が受けて全館放送で呼び出すシステムでした。その際、男性からの電話は「○○さんに電話です」と普通に言うのに対し、女性からの電話は「○○さんにお電話です」と言って区別するのが習わしでした。この中で、明らかに母君と思われる年配の女性の電話に限っては「○○さんに大(おお)電話です」と言って単なる「お電話」と区別することもよくありました。人によっては「お電話」には出るけれど「電話」には出たくないとか、「お電話」「電話」には出るけれど「大電話」には出られない、といった事情があり(←本当か)、まことに行き届いた取り決めだったのです。「お電話」の数が多いとなにやら誇らしげに寮生活を送ることができるし「お電話」が全く来ないと肩身の狭い思いをすることにもなるわけです。 ◇ 電話を取り、アナウンスで寮生を呼び出す際、普通の電話の場合は“電話”、女性からの電話は“お電話”、実家からの電話は“長距離電話”と区別している。 ◆ 大学の男子学生寮の(思い出)話である。最後のは、「おお電話」が「長距離電話」。これは、ちょっとおもしろ味に欠ける。 |
このページの URL : | |
Trackback URL : |