MEMORANDUM

  写真の迷信

◇ 撮影は機械的操作だから、なぜ写るかはいちおう科学的に説明できる。だが何か説明しきれぬ不思議さを感じさせるものがあった。写ることのなかに不可思議な力を感じていたのであろう。写真を撮ると影がうすくなり、それだけ寿命が短くなるというような考えをもつ人びとがいた。今でも三人でいっしょに写真をとると、一人が死ぬなどという。それを避けるために一人に人形をもたせたりする。人形を人のうちにかぞえて四人とするためか、それとも死ぬ役割を人形に負わせるためかは知らないが、とにかく、人びとのなかに古い気分が残っていて写ることに何かを感じるのである。
戸井田道三 『色とつやの日本文化』 (筑摩書房,1986,p.19)

◆ そういえば、そうだった。三人で写真を撮ると中央のひとは早死にする、などともいった。だれが言いだしたのかはしらないが、それを信じる 「古い気分」 がワタシのなかにもたしかにあった。

◇ 幼い頃、おじいちゃん子だった私は写真にうつると寿命が縮むとか、3人で写真にうつる場合は早死にするから真ん中は避けなさいだとか、写真にまつわる迷信を懇々と聞かされ続けた。そのため、私は写真を撮られるということにもの凄く抵抗がある。
w1.avis.ne.jp/~hamanata/essay/e52.htm

◆ つぎの引用は、NHK高校講座 「理科総合B 第9回 遺伝子はどのように子に伝わる?」 の番組制作裏話から。

◇ 気づかなかった人も多かったと思いますが、浦野さんの長女がお嫁にいってから、息子さんがお嫁をもらうまでの3年間、家族3人で映っている足元にぬいぐるみが置いてあります。スタッフは 「お嫁にいった娘さんの代わりに置いたのだ」 と思ったのですが、違いました。このぬいぐるみはカメラマンの安河内さんが置いたもので、古くから 「3人で写真を撮ると、真ん中の人が早死にする」 という言い伝えがあるそうです。おじいさん世代の人には、常識かもしれません。それを避けるため、3人で撮る時は、ぬいぐるみや人形を小道具として置くのだそうです。そう思って一番最初の3人の写真に戻ってみると、確かにお人形を抱いています。一枚の肖像写真の中にもいろいろな心配りがされているのだと感じました。
www.nhk.or.jp/kokokoza/rikasougou/b09/ura.html

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