◇ 螢火は川のせなかのやいとかな (野々口立圃)
◆「灸」と書いてなんと読むか? 「きゅう」と読むのがふつうだろうが、「やいと」と読むひともいるかもしれない。ワタシのパソコンでは「やいと」と打って漢字変換すると「灸」と出る。
◇ 「おぐりすやいと。肩のこり、りょうまちによろし」
小栗栖はいまも「もぐさやいと」のさかんなところである。当時から、もうそんな看板が立っていたのだった。
水上勉 『醍醐の櫻』(新潮文庫,p.172)
◆ 上の「おぐりす灸」の看板の「灸」は「きゅう」と読むのか「やいと」と読むのか、よくわからない。こんな看板もある。「大徳寺前の灸しちくやいと」。漢字で「灸」と書くと「きゅう」と読み、「やいと」はひらがなで書くことが多いのかもしれない。
◇ お灸のことを「やいと」と言います。鍼灸院の看板にもよく「はり・やいと」と書いてあります。
福西佐元 『お灸ばなしあれこれ』(冬青社,p.68)
◆ そんな看板見たことない、というひとも多いだろうけどが、あるところにはある。
◇ 灸のことを関西では「やいと」という。僕の子供のころは、悪いことをすると、「言うこときかへんかったら、やいとすえたるからなっ」と、よくおかあちゃんに怒られたものである。昔はおとうちゃんも恐かったが、おかあちゃんも負けないくらいに恐かったんである。
homepage2.nifty.com/tatsuhiro/yaito.htm
◇ それと、お仕置きのもう一つが「やいと」である。私を畳に押し倒して、父が背中に馬乗りになって、母がどこからともなく「もぐさ」を持ってくる。今、思い返してもあのもぐさがどこに隠されていたのかは分からないが、小さな木箱に入っていた。そして背中にもぐさをすえて火をつける。熱くて手足をジタバタ、大きな声で泣き叫ぶ。どんな理由で怒られたのかさえ覚えていないが、やいとの恐怖も覚えてるよ。
www.hiromachi.com/wpwpwp/?p=34
◇ 子供の頃、特にゴンタ(ごんたくれ)でもなかったように思うのですが、何かやらかす度に「やいとやで!」とか「やいとしたろ!」って良く言われましたです。ま、実際やいとされたんですけどね...(^^;ゞ
cyber-thief.sub.jp/archives/000209.html
◇ 昔、よく悪さをするとおばあちゃんに「そんな悪い事ばっかりしてると、『やいと』 据えるよ!」と怒られた。私の住んでいた丹波地方では「お灸」の事を「やいと」と言っていた。ただ、洗練された感のある「お灸」と野性的(笑)な「やいと」とでは似て非なる物という感じがする。
www.kanshin.com/keyword/674688
◇「やいとするよ!!」 判る人います?????? 広島だけ?? 広島でも知らない??? それだけは嫌だったので言うこと聞いてました。
minkara.carview.co.jp/userid/168106/blog/3794918/
◇「やいと」ってご存知ですか? お灸ですね。モグサを円錐形にして、線香で火をつけるんです。おばあちゃんは目が悪くなっていたので、もぐさのてっぺんに火をつけるのが上手くいきません。なので、私が線香で火をつけるのです。手の届きにくいところは、全部私です。(あつそーやな・・・)と、いつも思いました。
angelica22.exblog.jp/1512617/
◆ やいと、お仕置き、おばあちゃん。これらのコトバは容易に切り離すことができない。やいとの代わりにお灸、よもぎと言っても同じこと。
◇ 二火三火蓬(よもぎ)が下のやんちゃ坊 (池西言水)
◇ 風の子や裸で逃げる寒の灸 (小林一茶)
◆ でも、鍼灸師さんなら、こう思う。
◇ 大切な医療としてのお灸を、右の二句に見るような懲らしめの道具にするとは、何という罰当たりなことでしょう。子供にお灸を毛嫌いさせるような、こんな行為は絶対にしてはいけません。
福西佐元 『お灸ばなしあれこれ』(冬青社,p.142)
◆ なんだか一茶が叱られているような気もする。もちろん、やいとはお仕置きのためだけでなく、子どもの疳の虫封じなどの治療にもよく使われた。
◇ 関西の方では、昔から”ちりけのやいと”と言って、小さいお子さんの疳の虫などにお灸をすえると言うことが一般化している地域もあります。他にもおねしょや喘息などにも、お灸が非常に効果があります。
keijyudou.blog20.fc2.com/blog-entry-70.html
◇ 私は生まれてから高校生まで、治療とお仕置きでやいとをたくさん据えられました。幼児期はチリゲへの疳の虫封じ(覚えていません)、幼稚園から小学生の間はおねしょや悪戯のお仕置きでお尻に、中学生から高校の時は生理痛で腰にやいとを据えられました。
i.z-z.jp/pcbbs.cgi?id=oskutur&th=18&p3=
◇ 私も中国地方の田舎町の出身ですけど、2歳の頃、町のやいと屋さんへ連れて行かれチリゲと命門に初めてやいとを据えられました。疳の虫が起きたとき等母親から何度となく虫切りやいとを据えられました。幼稚園の頃から小学生になってからは、ヒステリーを起こしたり、言う事を聞かなかったり、悪戯等をするとチリゲと命門はお仕置きやいとに変わり中学校を卒業する頃まで据えられた為、大きな痕が残ってしまいました。
www1.ezbbs.net/cgi/reply?id=tantei&dd=24&re=344&qu=1
◇ 〔愛媛県西条市加茂地区〕荒川山には、藩政時代の庄屋がありました。庄屋は伊東家で、伊東家に家伝の『荒川やいと』がありまして、現在も西条駅前で続けて営業しております。お誕生前後の幼児にこの『荒川やいと』のお灸をすえると泣き虫やかん虫がとれて元気に育つということで、大抵の幼児は、背中にやいとの跡があります。
arajisi.cool.ne.jp/karuta05.html
◆ ワタシの体にさいわいやいとの跡はない。