◆ 2006年6月15日、東急東横線都立大学駅のホームに突然ハトが落ちてきた。なぜかは知らない。近づいてみると、なんとも見事に翼を開き、赤い脚を前後に構えたまま、ひっくり返って動かない。こんな格好のハトを見るのは初めてだ。動かないのをこれさいわいに写真を数枚。すっかり満足した気分でハトのもとから立ち去って電車を待っていると、あとからホームに上がってきた青年が、やはりハトに気がついて、ハトに近づいた。ワタシと違って、カメラは取り出さない。その代わりに、ハンカチを取り出して、それでハトをやさしく包み、そうして、ハトを胸に抱えていま来たばかりのホームの階段を下りていった。駅の事務室に届けるのだろう。 ◆ ああ、なんとこころやさしい青年! それにくらべてワタシときたら! ◆ ちょっと言い訳。そのハトに外傷はまったくなかったから、おそらく電線に触れて感電して地上に落ちてしまったのだろう。ショックで気絶してはいるが、そのうちにまたなにもなかったかのように飛び立ってゆく・・・。そうワタシはそう思ったのだ。だが、それはほんとうだろうか? そのハトがもし血を流して苦しんでいたとしたら、ワタシはあのやさしい青年になれただろうか? そのへんはよくわからない。おそらく、なにもしなかったのではないかと思う。ハトの生きている世界はワタシの生きている世界とは違う。自然の動物の生死にむやみに介入すべきではない。そんなことを考えてしまったワタシは冷たい。 |
このページの URL : | |
Trackback URL : |