MEMORANDUM

  ネコの恩返し

◆ ネコはいつでも救世主として登場する。毎日なんらかの写真を撮ることを日課にしているが、日がな一日あちこち歩き回ったあげく、それでもシャッターを押す気に一度もなれず、今日という一日はなんだったんだろう、と意味のない反省し始め、まあ仕方がない、と諦めかけたところで、こちらの窮状を見透かしたかのように、きまって現れるのがネコだ。ああ助かった、と思いつつレンズを向ける。これまで何度ネコに助けられたことだろう。

◇ 「猫って、逃げるまえにかならずキッ、とこっちにらむよな。そこが好きだなあ」
「必ず一度目を合わせる」
「向こうから寄ってこないよな。たいがいこっちに寄っていかせる。そのくせこっちが行かないよーっていうと、こないのーって振り返ってこっち見るんだよ。いいよな、やっぱり」

荒木経惟・杉浦日向子 『東京観音』 (筑摩書房,p.142)

◆ タイトルを思いついたままに、「ネコの恩返し」 としたはいいけれど、よくよく考えてみると、ワタシにはネコに何かをしてやった、恩を売ったという記憶がさらさらないのだった。それでも、ネコは見かけによらず律儀に恩返しをしてくれるのだから、ワタシが忘れているだけで、あるいは知らず知らずのうちに、ネコが一生の恩に着ると思ってしまうような何かいいことをしているにちがいない。

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