MEMORANDUM

  狆 (ちん)

◇ 犬には多くの種類がある。そして、言うまでもないことだが、その総てが犬である。これはかなり思いがけないことだ。しかし、もっと思いがけないのは、その多くの種類の犬を、我々が総て犬と見做すことができるということだ。
別役実 『けものづくし』(平凡社ライブラリー,p.94)

◆ ワタシもつねづね同じ疑問を抱いていた。

◇ 現在、世界には700~800の犬種があるといわれています。ジャパンケネルクラブでは国際畜犬連盟(FCI)の公認している331犬種を公認し、そのうち176犬種を登録しており、これらの犬種の繁殖の指針とするために犬種(スタンダード)を定め、血統を管理し、ドッグショーを開催しております。
www.jkc.or.jp/world_dog/

◆ これほど多くの種類の犬がいるというのに、それぞれの形態がけっして似ているわけではないというのに、セントバーナードとチワワも、ブルドッグもシェパードも、どうしてすべて犬だと思うことができるのだろう? 「ワン」と鳴くからだろうか? まったくもって不思議である。などと思っていたら、おもしろい記述に出くわした。狆 (ちん) のハナシである。

◇ 古代以来、江戸時代になっても、日本には犬を室内で飼う習慣はなかった。それが狆だけは例外で、室内で飼われていた。そのため、狆は犬とみなされておらず、犬と猫の中間に位置する動物と認識されていたらしい。
谷口研吾 『犬の日本史』(PHP新書,p.91)

◇ The Japanese do not look on pugs as dogs. They speak of “dogs and pugs” (inu ya chin), as if the latter formed a distinct species.
Basil Hall Chamberlain, Japanese Things, (Tuttle, p.401)

◆ そんなことがあってもいいだろう。こんなサイト記事も見つけたが、これはどうだろう?

◇ ちんは猫のようでもあり、犬のようでもあり不思議な動物ということになり、猫と犬の中間の動物のようなので、けもの編に中と書いて「狆」という漢字が出来たのです。
www5a.biglobe.ne.jp/~nobon/tinkanji.htm

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