◆ 台東区の区長がこんな文章を書いている。
◇ 8月のアテネオリンピックが近づいてきました。
www.city.taito.tokyo.jp/taito-co/kuchou/konnichiwa16-6.html
◆ もちろんこの文章が書かれたのは去年のこと。来年のハナシをすると鬼が笑うそうだから、去年のハナシをすると仁王が笑うやもしれぬ。というわけで、またまた仁王のハナシ。区長の文章の途中を端折って、先を急ぐ。
◇ 浅草から世界へのアピールといえば、アテネオリンピック・女子レスリング72キログラム級に、浅草生まれ浅草育ちで、台東区区民栄誉章を受けている浜口京子選手が出場します。浜口選手が試合で着るユニフォームには阿吽(あうん)一対の仁王が描かれています。気合を入れるセコンド、その気合を受ける選手を表現しているそうです。お父さんのアニマル浜口さんの「気合だあー!」という力強くも温かい檄が聞こえてきそうなユニフォームですね。/ 台東区の皆さんとともに、浅草寺宝蔵門の仁王様も浜口選手を応援していると思いますので、お父さんとの歓喜の肩車がアテネでも見られることを心から願っています。
Ibid.
◆ そして、これが浜口選手を応援していた仁王様(ちと応援が足りなかったか?)。これはちょっとだけ柵によじ登って撮りました。これがほかの寺ならバチアタリな行為に思えて気がひけるんだけど、浅草寺というところは、観光客だらけで、なんとなく一種のテーマパークみたいで、あんまり崇高な感じがしないもので、まあいいか、と。どうもすいません。それはともかく、この仁王さん、見てのとおりそんなに古いものではない。
◇ 仁王門は、平安中期からあったが、慶安二年(1649)建立の木造最後の楼門は、昭和二十年三月の戦火で焼失、現在の宝蔵門は昭和39年に大谷米太郎氏の寄進により竣工されたもの。
www.aurora.dti.ne.jp/~ssaton/meisyo/sensouji.html
◆ 昭和39年というとワタシの生まれた年で、と書き出すと長くなるので、さらに先へ。この鉄筋コンクリート製の宝蔵門の落成とともに安置された仁王さんであるが、
◇ 制作は錦戸新観(左、”あ”と口を開いている阿形(あぎょう)像)・村岡久作(右、”ん”と口を閉じている吽形(うんぎょう)像)両仏師の彫刻により、大相撲の北の湖現理事長が入門間もないころと吊出しが得意技だった明武谷をモデルに制作されました。総檜造り高さは5.45mあり、重さおのおの1トンあります。
ginjo.fc2web.com/72sisyuku_nohe/sisyuku.htm
◆ なるほど、相撲取りがモデルだったか。北の湖といえば、輪島のファンだったワタシにとってはにっくき敵役でホントに強かった、などというハナシもどうでもよろしい。もうひとりの明武谷は知らない。関脇までいったらしい。
◇ 上位に強く、無敵を誇っていた大鵬に関脇以下では最も対抗して大関昇進を期待されたが、体力不足で果たせなかった。浅草観音の宝蔵門に立っている右側の仁王の原型になった。真面目な性格。キリスト教「エホバの証人」に入信して廃業し、船橋の村田工業所の行員を勤めた後にビル清掃業「日本美装」を共同経営しながら布教活動を行った。
www.fsinet.or.jp/~sumo/profile/1/19590701.htm
◆ ここに書かれた廃業後の人生にも興味をひかれるけれども・・・。とにかく、この写真の仁王は 「真面目な」明武谷という力士の似姿だったのである。このコトを知ったあとで、もう一度、写真を見てみると、さっきまでヒョウキンな感じしかしなかった仁王の顔に、すこしだけ哀しみの表情がのぞいているようでもある。
◆ 最後におまけ。先にも書いたが、この宝蔵門のある浅草寺、とにかく観光客が多くて、外国人の姿も目につく。そんな外国人相手のガイドのためのジョーク集を見つけた。たとえばこんなコトが書いてある。
◇ ○誘導していて道に迷ってしまった。
We need another guide.(←あまり口にしたくないセリフ)
www8.plala.or.jp/y-naka/j-file.html
◆ そのなかで、いちばんおもしろかったのがコレ。
◇ ○浅草雷門の仁王像は阿吽の呼吸。
My wife and I have no harmony. We're both open mouths.
Ibid.
◆ 雷門に仁王はいない。We need another guide.