MEMORANDUM

  野犬

◇ 野生の犬、というのは、今どき稀有な存在である。六年ほど前までは、夢の島に野犬の群れが生息していた。それも次第に数が減って、三年前に絶滅したと聞く。私は、この東京において、野犬というものは完全に絶滅したものと思っていた。 / 野良犬はまだ大井埠頭とか城南のほうとかで今でも見かけることはある。しかし、「野犬」 と 「野良犬」 とは違うのだ。野良犬は、専門的には 「放浪犬」 といって野犬とは明確に区別される。
(藤原新也 『東京漂流』,朝日学芸文庫,p.371)

◆ ときどきひとりぼっちで歩いているイヌに出くわすことがあると、近寄って、こう尋ねてみる。「キミは野犬かい?」。すると、たいていのイヌは困ったような顔をして、うなだれて、どこかへいってしまう。

(作業中)

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