◇ 六つのとき、原始林のことを書いた「ほんとうにあった話」という、本の中で、すばらしい絵を見たことがあります。それは、一匹のけものを、のみこもうとしている、ウワバミの絵でした。 ◆ ご存知、『星の王子さま』(岩波少年文庫) の冒頭である。ご存知、内藤濯(あろう)訳である。さて話は、ウワバミである。このウワバミなることば、どうもワタシはこの『星の王子さま』以外で出くわしたことがないような気がする。いつ読んだのか忘れたが、ウワバミとは一種の化け物かと思っていた。最近、『古事記伝』を読んでいたら、「ヤマタノオロチ」の段で、本居宣長が、 ◇ 今(イマ)ノ俗(ヨ)には、小(チヒサ)く尋常(ヨノツネ)なるを、久知奈波(クチナハ)と云ヒ、やや大キなるを幣毘(ヘビ)と云ヒ、なほ大キなるを宇波婆美(ウハバミ)と云ヒ、きはめて大キなるを蛇(ヂヤ)と云なり。遠呂智(ヲロチ)とは、俗(ヨ)に蛇(ヂヤ)と云フばかりなるをぞ云けむ。 ◆ と注記しているのに気がついた。小さい順に、クチナワ、ヘビ、ウワバミ、ジャ=オロチ。なんだ、ウワバミってのは、大きめのヘビのことだったのね。はじめて知ったよ。あの本には、この物語の語り手である「わたし」が描いたヘタクソな挿絵がたくさん載っていて、どうみても帽子にしか見えない絵を「ゾウを飲み込んだウワバミ」の絵だなんて言い張ったりしてるから、ワタシがウワバミをヘビだとわからなかったのも、仕方がないか。あんあ絵じゃ、ヘビに見えないよ! (ちと、言い訳がましいか?) ◆ それでは、みなさん、ハンザキってなんのことかわかりますか? ムジナは? |