◆ 昨日、暑い夕暮れの町を歩いていたら、不意に「赤い風船」の歌が頭の中で流れ始めた。ご存知かな、浅田美代子の「赤い風船」。 ♪ あの娘はどこの娘 こんな夕暮れ ◆ 調べてみると、作詞は安井かずみ、1973年のヒット曲。で、この「赤い風船」が突然脳内で再生されたわけをワタシに聞かれても困る。たぶん夕暮れだったからだろう。あんまり暑かったので、ちょっとおかしくなったのかもしれない。こんなことはだれにも一度はあることだろう。小林秀雄だって、「或る冬の夜、大阪の道頓堀をうろついてゐた時、突然、このト短調シンフォニイの有名なテエマが頭の中で鳴つた」(「モオツァルト」)そうであるから。まあ、ワタシは浅田美代子で、モーツァルトというわけにはいかなかったけれど、それは措くとして、この「赤い風船」の歌詞はなかなかいい(と書くのも気恥ずかしいが、そう思う)。手にした赤い風船、しっかり握っていたはずだったのに、「なぜだかこの手をするりとぬけ」てしまった。 ♪ 小さな夢がしぼむ どこか遠い空 ◆ この「小さな夢がしぼむ」というところがいい。小さな赤い風船に託した小さな夢がしぼんでしまった。小さな後悔、こころが小さく痛む。 ◆ 赤い風船で、もうひとつ思い出したこと。京都の実家のとなりに、かつてワタシが「おっちゃん」と呼んでいたひとが住んでいた。おっちゃんは、ワタシの大叔父で岩本敏男という児童文学者だった。そのおっちゃんの作品のひとつのタイトルが『赤い風船』だった。《児童文学書評》というサイトで、この本の批評(松田司郎)を見つけたので、リンクしておきます。 |
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