◆ ベストセラーはそのうち古本屋で大量に出回る運命にあるので、定価で買うのはバカらしい。だから、養老孟司の『バカの壁』も買わずにいるのだが、ちょっと気になったので、本屋でパラパラとページをめくってみた。要するに少し立ち読みをした。 ◇ でも実際に最後まで読んでみると、この本、そんなにやさしい本ではない。 ◆ という感想に、最後まで(というかほとんど)読んでいないのに、同感したい。こんな本を200万人もの日本人が読んでいるとはトウテイ信じられない。買っただけかもしれない。まあ立ち読みの分際でなにもわかるわけはないけれど。 ◆ で、立ち読みしたページに、ピーター・バラカンの言葉が引いてあった。 ◇ 「日本人は、常識を雑学のことだと思っているんじゃないですかね」(p17) ◆ (↑の引用部分の正確さは保障の限りではありません。この言葉が気になったひとも多いと見えて、ネット上でも、この箇所を引用しているサイトが複数あった。そのうちのもっとも正確な引用でありそうなものを安直にコピペした次第。そのうち古本屋で買ったら確認します。) ◆ なかなか言えそうで言えない言葉である。さすがはピーター・バラカン。で、唐突で恐縮だが、思い出したのが、ちびまる子ちゃんの「おどるポンポコリン」の歌詞。 ◇ いつだって忘れない エジソンは偉い人 そんなの常識 タッタタラリラ~ ◆ 作詞はもちろん、さくらももこ。こんな歌詞もなかなか書けないと思うが、つまりは、そういうことなんだろう。日本人の「常識」とは「エジソンは偉い人」ということなのである。 ◇ 小田急が混んでいることは、「エジソンは偉い人」と同じくらい関東の民衆に認識された事実である。 ◇ このオレに酒で挑戦する事ほど愚かな事はないと本当のオレの事を知ってる奴ならエジソンは偉い人ってくらい当たり前な事なんですけどね。 ◆ なにをしたかはどうでもよくって、とにかく偉い人とさえ憶えておけば困ることはないだろう。 ◆ いま「猫なで声は誰の声?」というアンケートをやっていて、そのなかのコメントにも「そんなの常識」って漢字のコメントがあって、思わず苦笑した。『バカの壁』が読みたくなるのは、こんなときだ。 ◆ フランス人の女の子のベビーシッターをしていたことがある。「おどるポンポコリン」が流行っていたころで、保育園の帰り道、思い出したように立ち止まっては、「おどるポンポコリン」の歌を踊りながら、覚えたての日本語で歌っていた。ああ懐かしい。 |