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◆ こういうハナシが好きだ。 ◇ さて妖怪を何故にモウといひ始めたかについては、たわいも無いやうな話だが私の実験がある。曾て多くの青年の居る席で試みにオバケは何と鳴くかと尋ねて見たことがある。東京の児童等は全くこれを知らない。だから戯れに仲間を嚇さうとする場合に、妙な手つきをしてオバーケーといひ、もしくはわざとケーを濁つていふこともある。つまり我名を成るたけこはさうに名乗るのである。ところが或る信州の若者はこの問に対して、簡明にモウと鳴きますと答へた。丸で牛のやうだなといふと、他に鳴きやうがあらうとは思はなかつたといつた。 ◆ オバケは何と鳴くかという質問自体がいいし、信州の若者の迷いのない回答の仕方もまた魅力的だ。 |
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♪ 空がとっても低い 天使が降りて来そうなほど ◆ まだ天使を見たことがない。とくに天使を見てみたいと思ったこともないが、とにかくまだ天使を見たことがない。 ◇ いまではもう誰も天使が実在するのかとか、天使とはなんなのかなどということをまともに考える人はいなくなってしまいました。もちろんいなくなったのは、キリスト教の天使ばかりではありません。妖精も、アイヌのコロポックルも、修験道の烏天狗も、とにかく人間と神の間に立って、神の言葉を人間に伝え、また人間になにか大きな力をあたえてきた存在について、人々はもうまともに考えなくなってしまったのです。人間の世界から天使は追放され、天使の存在できる空間が根こそぎにされはてた時代に、わたしたちは生きているわけです。 ◆ 天使の背中に生えているもの、あれはハネというのかツバサというのか、どちらのコトバが天使にお似合いかとなると、やっぱりハネかなあ、などとどうでもいいことをつらつら考え、そういえば、こどものころには、天使の羽(翼)のその付け根の部分は一体どうなっているのだろうか、ということが無性に気になったことを思い出して苦笑する。見たことはないので想像では、なんだか取って付けたような、接着剤で貼り付けたような、だからポロリとすぐ取れそうな、そんなもののような気がしていた。もしかすると、と唐突に変なコトを書くようだが、まだ何も知らない女の子が男性にあるというオチンチンというものを想像するときも、こんな感じだろうか? 自然に羽(翼)が生えた天使にイメージをうまく思い描くことができない。ペガサスだって、どうも不自然だ・・・。
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◇ 「日本の陶器会社がテエランの陶器会社から模造品を造ってくれと頼まれたので、造ってみたところが、本物より良く出来たのでテエランの陶器会社が潰れてしまったそうだ。それで造った日本もそれは気の毒なことをしたというので、今になって周章(あわ)て出したというんだが、しかし、やるんだねなかなか。一番ヨーロッパを引っ掻き廻しているのは、陶器会社かもしれないぜ。」 ◆ テエランはイランの首都テヘラン(Tehran, Teheran)。これは小説のなかのハナシだからホントかとどうかしらないけれど、ありそうなことではある。やるんだねなかなか、日本人というのは。器用で勤勉で。 ◆ こんなハナシを聞いたことがある。第二次世界大戦の日本の敗戦にともない、ソ連は多くの日本人捕虜をシベリアの収容所で強制労働に従事させた。その労働には過酷なノルマが課せられたが、勤勉な日本人はそのノルマを努力してクリアしてしまう。そうすると、さらに過酷なノルマが課せられることになるが、そのノルマをさらなる努力でまたもクリアしてしまう。やるんだねなかなか、日本人というのは。けれど、ものには限度というものがあって、ついには身体をこわして死んでしまう・・・。ああ、なんと勤勉すぎる日本人。 ◆ ノルマというコトバはもともとロシア語(Норма)。いや、ソビエト語といったほうが正確だろうか? ◇ 言い換える必要がないほど日本に定着しているロシア語にイクラやカンパなどがある。ノルマもその一つ。旧ソ連時代、一定の時間でこなすよう労働者に割り当てた仕事の基準量のことと辞書にある。 ◇ (1) 個人や工場に割り当てられた、一定時間内・期間内になすべき生産責任量。第二次大戦後、シベリア抑留者が日本に伝えた語。 ◆ ノルマのシステムは実に巧妙なものである。以下の引用は群馬県議会議長中村紀雄さんのサイトにある 《今見るシベリア強制抑留の真実》 から。 ◇ 正直で勤勉な日本人がノルマを達成すると次にはより厳しいノルマが課された。又、ノルマの達成度は、例えば、一一〇%以上が一級、その下の一〇〇%以上は二級、その下の八〇%以上は三級、それ以下は四級と評価され、それに応じて食事も差別された。 ◇ 飢えた日本人は、ノルマを超過達成して増量の食事を得ることに懸命であった。しかし、そのために体力を消耗させて倒れ、遂に死に至るものが多かった。 ◇ 日本人の中にも増食に釣られることの危険性を見抜いている者もいた。ノルマ万能の中で八〇パーセント主義を貫いたというある日本人は次のように証言している。 ◆ また、以下の引用は、毎日新聞のコラム 「経済観測」(2004年4月9日 東京朝刊)から。 ◇ シベリア抑留と強制労働に関連して、日本人にも反省すべきことがあったようだ。それは、強制労働の際に課せられたノルマ(達成すべき目標)に関してである。 ◆ とりあえず、ワタシは現在ノルマとは無縁な環境で働いていることをシアワセに思う、という間の抜けた感想しか書くことができない。 |