MEMORANDUM

  パークサイド

◆ ワタシの街歩きの愉しみのひとつに、アパートやマンションの名前ウォッチングがある。引越という職業柄、アパートやマンションの前を通ると、自然にその名前を確認する癖がついてしまったらしい。

◆ たとえば、「パークサイド」。

◆ ホテルや高層マンションならいざ知らず、二階建てのアパートの名称が「パークサイド」である場合、そのとなりにある公園(パーク)は、きまって小さな児童公園である。「パークサイド」というアパート名を目にしてはじめて、となりにあったことに気がつくような地図にも載っていない小さな公園。だれも遊んではいない。たしかにそこに公園があることを確かめて、改めてアパートに戻り、なるほどたしかにパークサイドであるなあ、と納得をする。持ち持たれつの両者の関係。

◆「リバーサイド」も同様。アパート「リバーサイド」のとなりに流れているのは、たいてい名も知れぬ小さな川である。アパートの名前が「リバーサイド」であることを知ってから、となりに川などあっただろうかといぶかしく思い、歩いて来た道を戻ってみると、そこにはたしかに橋があって、川が流れている。その存在に気がつくこともなく、いましがたワタシはその橋を渡ってきたのだった。なんだか化かされた気分。そんな小さな川のとなりにアパート「リバーサイド」はある。その名前が道しるべのようにも思える。そんな風に、つつましく「リバーサイド」は建っている。写真は探したけれど、見つからない。

◆「シーサイド」というアパートは、あるだろうが、まだ見たことがない。小さな海というものはない。

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