MEMORANDUM

  傘

◇  東京ではにわか雨がふりだしたとき数百数千の歩行者がいっせいに傘をさし、街路は傘で満ちる。
 ――なんという国だ。

司馬遼太郎 『街道をゆく31 愛蘭土紀行Ⅱ』(朝日文庫,p.22)

◆ 傘はあまりささない。雨がぼつぼつと落ちてくると、街では徐々に傘が開いていって、その最後に傘を開くひとに属するのではないかと思う。

◆ 最初に傘を開くひとは、雨がほとんど止んで、少しずつ傘が閉じられていっても、最後まで傘を閉じずにいるひとではないかと思う。

◆ 雨が止んだなら、一番先に傘を閉じたい。そんな美意識がどこかにある。

◆ ついでにいうと、黒い日傘もキライである。

◇ あいるらんどのような田舎へ行こう
  ひとびとが祭の日傘をくるくるまわし
  日が照りながら雨のふる
  あいるらんどのような田舎へ行こう

  丸山薫「汽車にのって」

◆ 傘はこういう風にこそ使いたい。

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