MEMORANDUM

  琵琶と枇杷

◆ ささいなことが気にかかる。たとえば、楽器の 「琵琶」 と果物の 「枇杷」 はどちらがどちらに似ているのか? 枇杷に形が似ているので琵琶と呼ぶのか? それとも、琵琶に形が似ているから枇杷と呼ぶのか?

◇ 楽器の琵琶は果物の枇杷の形に似ているから琵琶と名づけられた。元祖は果物の枇杷である。
www1.ocn.ne.jp/~tkykt/sub2sub51_isiyamadera.htm

◆ わたしもそうだろうと思った。いつだって自然(植物)の方が文化(音楽)より古い気がするものだから。

◇ 枇杷に似た琵琶弾き語る庵かな
k-0304.hp.infoseek.co.jp/haiku-shinsyo.htm

◆ でも、どうやら違うらしい。

◇ 枇杷は楽器の琵琶に似ているので名付けられたというが、葉の形か果実の形か、何れに由来するのかは定かでない。

◆ ネットで検索してみると、こちらの方が定説であるようだ。おまけに葉の形まで琵琶に似ているとは・・・(そうは見えないけど)。

◆ 枇杷の産地として知られる富浦町のホームページに、 「地域を支える房州ビワ」 という 「ネット教材」 があって、ビワの語源についても詳しく書かれていた。

◇ 楽器の琵琶(びわ)の胴(どう)が木でつくられるので木へんをつけて 「枇杷(びわ)」 と書き、のちに琴(こと)の一種(いっしゅ)だというので 「琴(こと)」 の字の上をそろえて 「琵琶(びわ)」 と書くようになりました。
www.mboso-etoko.jp/cec/data/biwa3/biwa3.html

◆ もともと楽器のビワが枇杷という表記だったのが、果実のビワにその漢字を奪われて琵琶という別の表記になった、というのが真相のようである。

◇ 植物(しょくぶつ)の枇杷(びわ)が楽器(がっき)の琵琶(びわ)の地位を奪(うば)って 「枇杷(びわ)」 と表記(ひょうき)されるようになったのは、5~6世紀(せいき)ごろではないかと言われています。つまり枇杷(びわ)が栽培(さいばい)されだしたころと同じ時期(じき)です。
www.mboso-etoko.jp/cec/data/biwa3/biwa3.html

◆ なるほど、栽培とは自然であるよりも、文化(culture)そのものなのだった。

◆ ところで、この 「地域を支える房州ビワ」、「ネット教材」 というだけあって、たいへん 「勉強」 になりました。植物のビワの学名は eriobotrya japonica で、バラ科。 「ビワの品種」 には、茂木・田中・楠・瑞穂・大房・戸越・房光・里見・房姫・富房・福原びわ・白茂木・・・。ああ、八犬伝の世界だなあ!

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